間違いだらけのしあわせ


そんな告白をすることすら,もう出来ないんだ。

あなたの背中に,痛感しながら。

友達だった頃の写真やプリだけを残して,私は彼の映る写真も会話履歴も,グループでの履歴すらも,全てのアプリから一切を消し去った。

履歴だけじゃない,そのまま連絡先も,SNSのフォローも。

断ち切るように,少しでも彼の過去から私を消せるように。

それが,彼の心を裏切って,ただの女を残した罰。

私はもう,友達じゃない。

あの最初の夜に,彼の中から姿を消した。

別人になったんだ。

我慢しろ,我慢しろ私。



「……ふ。さ,なぁぁぁ」

『えっな,なに?! もしもしくらい言わせて?!?』

「いえなっふえっ……うわーーーーん。言えない,けど,言えないけど,聞いて……っっ!!!!!」

『え,いや,うん,別にいいけども』



本当のひとりになったわけじゃないことだけが,痛む胸を荒療治するような痛みに変えてくれる。

彼は,私のものじゃない。

小さなスマホの光に。

心がようやく,追い付いた。
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