― ずっと好きだった人 ―
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        ――――貴理子の恋と結婚 ―――――


 

 離婚直後は流石に生きる気力が湧かず、今まで勤めていた会社を辞めて、
毎日クッションを敷いたソファを陣取り、無駄にダラダラと下らないTVを
見たりして時間をやり過ごした。



 2か月もするとこのままじゃあいけないと一念発起。


 貴理子の住む地域には図書館がふたつあり、そのうちの1つで
アルバイト募集があったため、そこを受けてみることにした。



 思ったほどライバルがいなかったようでサクっと仕事が決まった。


 4人しか人員がいない小規模な職場で男性職員1人はいつも外回りに
出ていていない。


 残りの1人はどこぞから天下ってきたじいさまで、株をやっているらしく
仕事以外の時には株の値動きを見るのに忙しく他の者たちとのかかわりは
ほとんどない。



 そういうわけで28才だという青木誠二と自分としかいないというのも
あり、二人の間での会話が自然と増えていき……。


 年の差もありふたりで仲良くしていても冷やかしたり男女の仲を
邪推してくる人間もいなかったことから馬が合うこともあり、急速に
仲良くなっていった。



 貴理子にしてみれば、この年になって一回りも下の男子が
仲良くしてくれるなんてと、寂しさも紛れ毎日職場に行くのが楽しく
徐々に離婚の悲しみからも抜け出すようになっていった。




 貴理子にとってそれだけでも救われるというのに、半年過ぎた頃
青木から
『好きなんだ、貴理子ちゃんのこと』と言われびっくり仰天。



 『年が12才も上でその上バツイチでおまけに夫から
離婚されたような女でいいの?』

と何度も訊いたが青木の決心は変わらなかった。




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