極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
だがその日の夜。
帰宅した千秋は、意外な人物からの電話を受けた。

「冴島さん?!どうしたの?」
『突然すみません、千秋さん。今、お話出来ますか?』
「ええ、大丈夫だけど。どうかした?」
『それが…、最近瞳子の具合が少しおかしくて』

ええ?!と千秋は声を上げる。

「おかしいって、どういうふうに?オフィスでは、いつもと変わりなかったわよ?」

今日も、亜由美に赤ちゃんのことを聞かれて少し照れていたが、おかしなところはなかった。

『実は瞳子、微熱があるみたいなんです。ちょっと顔が火照ってる感じで。体温計で測ると、37℃ちょうどとか、毎日そんな感じなんです』
「そうなの?でも元気そうにしてるけど…」
『はい。身体は元気なので、俺もそこまで心配してなかったんですけど。かれこれ1ヶ月近く続いているので、さすがにこれはと思って。しばらくゆっくり休ませて、精密検査を受けさせようかと思います。千秋さん、瞳子の仕事のスケジュール、どうなってますか?少しお休みを頂けませんか?』
「それはもちろん大丈夫よ。何よりも瞳子の身体が大事だもの。冴島さん、明日にでも瞳子を病院に連れて行ってくれる?」
『はい、分かりました。診察が終わったら、またご連絡します』
「ええ、お願いします」

電話を切ったあとも、千秋は心配で落ち着かない夜を過ごした。
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