極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
「知らなかったな。そうだったんだね。おめでとう、間宮さん」
「ありがとうございます」
楽屋を出てホールのエントランスに向かいながら、川上もお祝いの言葉をかける。
「そうか、よく見たら綺麗な指輪してるもんね。うわー、下世話なこと言うようだけど、ものすごく高価な結婚指輪なんだろうね。ご主人、仕事が出来る優秀な方なんだろうな」
「あ、はい。あの…。川上さん、もうここで大丈夫です。ありがとうございました」
エントランスから外に出ると、瞳子はお辞儀をして、川上が持ってくれていた花束を受け取ろうと手を伸ばす。
「タクシーに乗るまで見送るよ」
「いえ、すぐですから」
車寄せには、ホールから出て来た来場者に合わせて次々とタクシーが滑り込んで来る。
それほど待たずとも乗れそうだった。
「本当にここで。川上さん、色々とありがとうございました」
「そう?じゃあお大事にね」
仕方なく川上が花束を差し出し、瞳子が受け取った時だった。
「瞳子」
ふいに聞こえてきた声に、瞳子は驚いて振り返る。
「大河さん!」
途端に瞳子の顔は、パッと明るくなった。
「どうしたの?お仕事は?」
「うん、もう終わった。そろそろ瞳子も終わる頃かと思って、車で寄ってみたんだ」
「そうなんですね!ありがとうございます」
にっこり笑う瞳子に頬を緩めてから、大河は川上と向き合う。
「初めまして、冴島と申します。いつも妻がお世話になっております」
「あ!間宮さんのご主人でしたか。初めまして、ステージマネージャーの川上と申します。こちらこそ、間宮さんには大変お世話になっています。実は間宮さん、先程足首をひねってしまって…」
えっ?と大河が瞳子を振り返る。
「大したことないから大丈夫です。それに川上さんが手当てしてくれたし」
大河は包帯が巻かれた瞳子の右足首に目を落とすと、川上に頭を下げた。
「妻が大変お世話になりました。ありがとうございました」
「いえ、とんでもない。明日も間宮さんに司会をお願いしているのですが、どうぞご無理なく。お大事になさってください」
「はい、ありがとうございます。それでは失礼いたします」
大河はもう一度川上にお辞儀をすると、瞳子を振り返る。
「瞳子、帰るぞ」
そして少し身を屈めたかと思うと、スッと瞳子を抱き上げた。
「ひゃあ!ちょっと、大河さん!」
慌てふためく瞳子に構わず、大河は停めてあった車の助手席を開けると、ゆっくりと瞳子をシートに下ろした。
「大丈夫か?瞳子。まだ痛む?」
至近距離で顔を覗き込まれ、瞳子は必死で首を振る。
「痛くないです。全然、全く」
「そうか?顔が赤いし、目も潤んでる。ほんとは痛いのに、我慢してない?」
「してないです!ほんとに」
恥ずかしさのあまり、胸に抱えたバラの花束に顔をうずめると、大河はふっと微笑んだ。
「可愛いな、瞳子。バラの妖精か?」
そう言ってポンポンと瞳子の頭をなでてから、助手席のドアを閉めて運転席に回る。
「瞳子、シートベルト締めて」
「あ、はい」
大きなバラの花束を片手に持ち替えてベルトを締めようとすると、大河が瞳子に覆いかぶさるようにしてベルトに手を伸ばした。
カチッとバックルにベルトを差し込むと、ふと大河は瞳子を見つめる。
思わずドキッとしていると、大河はチュッと瞳子にキスをし、何事もなかったように車を発進させた。
「ありがとうございます」
楽屋を出てホールのエントランスに向かいながら、川上もお祝いの言葉をかける。
「そうか、よく見たら綺麗な指輪してるもんね。うわー、下世話なこと言うようだけど、ものすごく高価な結婚指輪なんだろうね。ご主人、仕事が出来る優秀な方なんだろうな」
「あ、はい。あの…。川上さん、もうここで大丈夫です。ありがとうございました」
エントランスから外に出ると、瞳子はお辞儀をして、川上が持ってくれていた花束を受け取ろうと手を伸ばす。
「タクシーに乗るまで見送るよ」
「いえ、すぐですから」
車寄せには、ホールから出て来た来場者に合わせて次々とタクシーが滑り込んで来る。
それほど待たずとも乗れそうだった。
「本当にここで。川上さん、色々とありがとうございました」
「そう?じゃあお大事にね」
仕方なく川上が花束を差し出し、瞳子が受け取った時だった。
「瞳子」
ふいに聞こえてきた声に、瞳子は驚いて振り返る。
「大河さん!」
途端に瞳子の顔は、パッと明るくなった。
「どうしたの?お仕事は?」
「うん、もう終わった。そろそろ瞳子も終わる頃かと思って、車で寄ってみたんだ」
「そうなんですね!ありがとうございます」
にっこり笑う瞳子に頬を緩めてから、大河は川上と向き合う。
「初めまして、冴島と申します。いつも妻がお世話になっております」
「あ!間宮さんのご主人でしたか。初めまして、ステージマネージャーの川上と申します。こちらこそ、間宮さんには大変お世話になっています。実は間宮さん、先程足首をひねってしまって…」
えっ?と大河が瞳子を振り返る。
「大したことないから大丈夫です。それに川上さんが手当てしてくれたし」
大河は包帯が巻かれた瞳子の右足首に目を落とすと、川上に頭を下げた。
「妻が大変お世話になりました。ありがとうございました」
「いえ、とんでもない。明日も間宮さんに司会をお願いしているのですが、どうぞご無理なく。お大事になさってください」
「はい、ありがとうございます。それでは失礼いたします」
大河はもう一度川上にお辞儀をすると、瞳子を振り返る。
「瞳子、帰るぞ」
そして少し身を屈めたかと思うと、スッと瞳子を抱き上げた。
「ひゃあ!ちょっと、大河さん!」
慌てふためく瞳子に構わず、大河は停めてあった車の助手席を開けると、ゆっくりと瞳子をシートに下ろした。
「大丈夫か?瞳子。まだ痛む?」
至近距離で顔を覗き込まれ、瞳子は必死で首を振る。
「痛くないです。全然、全く」
「そうか?顔が赤いし、目も潤んでる。ほんとは痛いのに、我慢してない?」
「してないです!ほんとに」
恥ずかしさのあまり、胸に抱えたバラの花束に顔をうずめると、大河はふっと微笑んだ。
「可愛いな、瞳子。バラの妖精か?」
そう言ってポンポンと瞳子の頭をなでてから、助手席のドアを閉めて運転席に回る。
「瞳子、シートベルト締めて」
「あ、はい」
大きなバラの花束を片手に持ち替えてベルトを締めようとすると、大河が瞳子に覆いかぶさるようにしてベルトに手を伸ばした。
カチッとバックルにベルトを差し込むと、ふと大河は瞳子を見つめる。
思わずドキッとしていると、大河はチュッと瞳子にキスをし、何事もなかったように車を発進させた。