極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
第二十六章 恋…ってなんだ?
いよいよ吾郎の引っ越しの日がやって来た。

引っ越し業者におまかせのコースを頼んだが、やはり荷解きや細かい整理整頓など、やることはたくさんある。

その間、安藤がトオルを庭で見ていてくれて助かった。

「都筑さん。そろそろお昼にしませんか?」

引っ越し業者が作業を終えて帰っていくと、時刻は13時を過ぎていた。

「ああ、そうだね。えーっと、何かデリバリーでも頼む?」
「私、お弁当作ってきたんです。よろしけ
ればいかがですか?」
「えっ、いいの?」
「はい、もちろん。トオルちゃんにもおやつあるよー」
「アン!」

安藤はローテーブルの上に、3段のランチボックスを並べた。

卵焼きに唐揚げ、サンドイッチやおにぎり、フルーツにサラダなどが、ぎっしりと詰めてある。

「うわー、すごいね。どれもこれも美味しそう」
「ありきたりですみません。でもピクニックみたいで、楽しく作れました。お口に合うといいのですけど」
「ありきたりだなんて、とんでもない。ありがとう」

いただきます、と手を合わせてから、早速吾郎はパクパクと食べ始めた。

「うん、うまい!」
「ほんとに?良かった。トオルちゃんはこれね。ワンちゃんクッキー」
「アン!」

お弁当をペロリと完食すると、吾郎は食後のコーヒーを淹れてソファに戻る。

するとトオルを胸に抱いた安藤が、うつらうつらと眠そうにしているのに気づいた。

(日当たりいいもんな。そりゃ眠くなるわ)

コーヒーをテーブルに置くと、吾郎は安藤の肩を揺する。

「そんな体勢で寝ると身体が痛くなるよ?」
「んー…」

安藤は身じろぎするものの、一向に目覚める気配がない。

腕に抱いたトオルも、スヤスヤと安心したように眠っている。

やれやれ、またかと、吾郎は安藤を抱き上げてソファに寝かせた。
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