極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
第二十七章 いつの間にか
「ようこそ!私達の愛の巣へ」
玄関を開けるなり笑顔の亜由美のセリフに、早くも吾郎と安藤は苦笑いになる。
「お、お邪魔します」
「どうぞどうぞー」
透に促され、二人は早速リビングに通された。
「おお!家具が揃って雰囲気も良くなったな」
内覧会の時はガランとしていた空間にセンスの良い家具が並び、オシャレで温かみのある部屋に様変わりしていた。
「さ!ソファに座って。今お茶でも淹れますねー」
亜由美がキッチンに向かうと、安藤が、私もお手伝いしますと声をかける。
「都筑さん、トオルちゃんをお願いします。トオルちゃん、よそのおうちだから、抱っこでいい子にしててね」
「アン!」
トオルを吾郎に預けてから亜由美と楽しそうにキッチンに並ぶ安藤を見て、透が感心する。
「へえー、もうどこからどう見ても吾郎の奥さんに見えるんだけど?」
「そんなんじゃないよ。どっちかって言うと、こいつの彼女。だからよく一緒に遊んでるだけだよ」
そう言って吾郎はトオルの頭をなでる。
「吾郎、それナンパの常套句だよ」
「は?!何が?」
「俺、子犬飼ってるんだよねー。えー、ほんと?見たーい!いいよ、会わせてあげる。ありがとー!って、部屋に連れ込むんだ」
透は声色を変えながら一人芝居をした。
「そ、そんなんじゃないってば!そんなつもりは全く…」
慌てて吾郎が否定する。
「全くないの?彼女に会えて嬉しいって気持ちも全くない?」
それは…、と吾郎は言葉に詰まってうつむく。
「吾郎、ちゃんと言葉にしないとダメだよ。大事なんだろ?彼女のこと」
「大事…?うん、あの。彼女のことが、ってよりは、こいつと3人の時間が大事なんだ」
はあー?と透が呆れた声を上げる。
「やーれやれ、どんだけ恋愛初心者だよ。そんなガタイのいい30過ぎの男が、中学生みたいなこと言っちゃってさ。男を見せろよ!凱旋門吾郎!」
バシッと吾郎の背中を叩くと、透は吾郎の腕からトオルを抱き上げる。
「おー、可愛いな、お前。さすがは俺と同じ名前だけある。モテるだろ?トオル」
「アンアン!」
あはは!と笑って頭をなでていると、亜由美と安藤が紅茶とケーキをソファの前のテーブルに並べ始めた。
「トオルちゃんにもワンちゃん用のケーキ買って来たんだ。ほら!」
亜由美が小さめのお皿をトオルの前に置く。
「わあ、可愛い!ワンちゃんの顔のクッキーが載ってる!良かったわね、トオルちゃん。亜由美さん、ありがとうございます」
「どういたしまして、莉沙ちゃんママ」
「え?いえ、あの」
「ふふっ、もうすっかりトオルちゃんのママにしか見えないわよ?」
「そんなことは…」
するとトオルがお皿の上のケーキに顔を近づけてクンクンと匂いを嗅いでから、安藤の顔を見上げる。
「え?ああ。ちょっと待ってね、トオルちゃん。みんなでいただきますしてからね」
亜由美はニヤニヤしながら、皆を見回す。
「じゃあ食べましょ!トオルちゃんがお利口に待ってくれてるからね」
いただきまーす!と4人で声を揃えると、安藤はトオルに声をかけた。
「トオルちゃん、召し上がれ」
「アン!」
ハグハグとケーキを食べ始めるトオルに微笑んでから、安藤は紅茶を飲む。
亜由美は更にニヤニヤと意味ありげに、透と顔を見合わせていた。
玄関を開けるなり笑顔の亜由美のセリフに、早くも吾郎と安藤は苦笑いになる。
「お、お邪魔します」
「どうぞどうぞー」
透に促され、二人は早速リビングに通された。
「おお!家具が揃って雰囲気も良くなったな」
内覧会の時はガランとしていた空間にセンスの良い家具が並び、オシャレで温かみのある部屋に様変わりしていた。
「さ!ソファに座って。今お茶でも淹れますねー」
亜由美がキッチンに向かうと、安藤が、私もお手伝いしますと声をかける。
「都筑さん、トオルちゃんをお願いします。トオルちゃん、よそのおうちだから、抱っこでいい子にしててね」
「アン!」
トオルを吾郎に預けてから亜由美と楽しそうにキッチンに並ぶ安藤を見て、透が感心する。
「へえー、もうどこからどう見ても吾郎の奥さんに見えるんだけど?」
「そんなんじゃないよ。どっちかって言うと、こいつの彼女。だからよく一緒に遊んでるだけだよ」
そう言って吾郎はトオルの頭をなでる。
「吾郎、それナンパの常套句だよ」
「は?!何が?」
「俺、子犬飼ってるんだよねー。えー、ほんと?見たーい!いいよ、会わせてあげる。ありがとー!って、部屋に連れ込むんだ」
透は声色を変えながら一人芝居をした。
「そ、そんなんじゃないってば!そんなつもりは全く…」
慌てて吾郎が否定する。
「全くないの?彼女に会えて嬉しいって気持ちも全くない?」
それは…、と吾郎は言葉に詰まってうつむく。
「吾郎、ちゃんと言葉にしないとダメだよ。大事なんだろ?彼女のこと」
「大事…?うん、あの。彼女のことが、ってよりは、こいつと3人の時間が大事なんだ」
はあー?と透が呆れた声を上げる。
「やーれやれ、どんだけ恋愛初心者だよ。そんなガタイのいい30過ぎの男が、中学生みたいなこと言っちゃってさ。男を見せろよ!凱旋門吾郎!」
バシッと吾郎の背中を叩くと、透は吾郎の腕からトオルを抱き上げる。
「おー、可愛いな、お前。さすがは俺と同じ名前だけある。モテるだろ?トオル」
「アンアン!」
あはは!と笑って頭をなでていると、亜由美と安藤が紅茶とケーキをソファの前のテーブルに並べ始めた。
「トオルちゃんにもワンちゃん用のケーキ買って来たんだ。ほら!」
亜由美が小さめのお皿をトオルの前に置く。
「わあ、可愛い!ワンちゃんの顔のクッキーが載ってる!良かったわね、トオルちゃん。亜由美さん、ありがとうございます」
「どういたしまして、莉沙ちゃんママ」
「え?いえ、あの」
「ふふっ、もうすっかりトオルちゃんのママにしか見えないわよ?」
「そんなことは…」
するとトオルがお皿の上のケーキに顔を近づけてクンクンと匂いを嗅いでから、安藤の顔を見上げる。
「え?ああ。ちょっと待ってね、トオルちゃん。みんなでいただきますしてからね」
亜由美はニヤニヤしながら、皆を見回す。
「じゃあ食べましょ!トオルちゃんがお利口に待ってくれてるからね」
いただきまーす!と4人で声を揃えると、安藤はトオルに声をかけた。
「トオルちゃん、召し上がれ」
「アン!」
ハグハグとケーキを食べ始めるトオルに微笑んでから、安藤は紅茶を飲む。
亜由美は更にニヤニヤと意味ありげに、透と顔を見合わせていた。