極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
「どれ?見せて」

マンションに着くと、大河は当然のようにまた瞳子を抱き上げて部屋に入った。

ソファに座らせて、すぐさま瞳子の前にひざまずく。

「綺麗に包帯巻いてもらったな。でも一旦外すよ」

そう言ってクルクルと包帯を取ると、そっと足首に触れる。

「まだ少し熱を持ってるな。もう一度冷やしてから新しい湿布を貼ろう」
「はい。あの、大河さん」
「ん?なに」
「その前にシャワー浴びてもいい?」
「あー、そうか。まあ湯船に浸からなければ大丈夫だろう。俺も一緒にバスルームに入るから、脱いで」

…は?と瞳子は目が点になる。

「脱ぐって、何を?」
「もちろん、服」
「は、はいー?!」

仰け反って後ずさろうとする瞳子から花束を取り上げ、大河は瞳子が羽織ったコートに手をかける。

「いやー!やめてー!」
「はあ?なんちゅう声を出すんだよ」
「だ、だって、大河さんの前で服を脱いだら、その…、見られちゃうじゃない。そんなの無理!」
「無理じゃないっつーの!瞳子、今更何を言っている?俺は毎晩ベッドで瞳子を抱いて…」
「ギャー!大河さんのバカバカ!」
「バカとはなんだ?いてっ!こら、瞳子!」

大河はポカポカと胸を叩いてくる瞳子の手を掴むと、背中に腕を回してグッと瞳子を抱き寄せた。

「瞳子。いい子だから言うこと聞いて。ね?」
「やだ!大河さんに身体見られるの、恥ずかしいもん」
「恥ずかしがり屋も可愛いけど、足首を使えば悪化して、明日のステージに立てなくなるぞ?それでもいいの?」
「…ダメ」
「だろ?それなら、ほら。俺が一緒に入るから、脱いで」
「でも、でも、ほんとに恥ずかしいんだもん!」

真っ赤な顔で目を潤ませる瞳子に、大河はやれやれとため息をつく。

「分かったよ。じゃあバスタオルを身体に巻いて。それならいいだろ?」

瞳子はうつむいてから、コクンと頷く。

「よし。とにかくまずはコート脱ごう」
「うん」

おとなしくコートを脱ぐと、今度は大河が騒ぎ始めた。
< 13 / 141 >

この作品をシェア

pagetop