極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
「えっと…」
「は、はい」

吾郎が再び口を開くと、安藤も身を固くした。

「あの、毎週末君をマンションに送り迎えするのもなんだから、ここで一緒に暮らすのは、どうかな?」
「あ、そうですよね。いつも車で送り迎えさせてしまって、本当にすみませんでした。お手数おかけしました」
「いや、それはいいんだけど。いつも別れ際にトオルが悲しそうにするのも忍びなくて」
「私もです。トオルちゃんと離れる時は、いつも涙が出そうになります」
「それなら一緒にここで暮らして、別れなくてもいいようにしよう」
「それはトオルちゃんの彼女として、ってことですか?」
「いや、トオルのママで、つまり俺の妻ってことで」
「ママでツマ…。え、妻?!」

安藤は目を丸くして軽くパニックになる。

「え?彼女はどこに行ったんですか?」
「えっと、彼女は通過してしまったかも」
「通過?通り過ぎちゃったんですか?」
「うん。トオルの彼女を通り過ぎてママになって、俺の彼女はすっ飛ばして妻になる」
「すっ飛ばす?そんなことあるんですか?なんだかゲームのワープみたい」
「まあ、そうだな。あっという間にゴールイン。ダメかな?」
「いえ、ダメではないですけど。でもいいんですか?ワープとか、なんだか裏ワザみたいで」
「大丈夫だよ。裏ワザなんかじゃない。だって俺、君のこと本気で好きだから」

思わず息を呑む安藤に、吾郎は優しく笑いかけた。
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