極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
厳かな挙式のあとは、大階段でのフラワーシャワー。

幸せそうな吾郎と莉沙を、ビデオカメラ片手に撮影する透は、もう片方の手は亜由美と繋いで離さない。

「亜由美!フラフラどっか行かないの。転んだらどうするの?」
「大丈夫だもーん」
「大丈夫じゃないから言ってるの!ママになるのに、子どもみたいなこと言わないで。ほら、ちゃんと手を繋ぐ!」
「もう!心配性なパパでしゅねー?赤ちゃん」
「ママが子どもなんだろ?ねえー、赤ちゃん」

ビデオの画面はブレブレで、こっ恥ずかしいセリフも拾っている。

大河は苦笑いすると透の手からビデオカメラを取り上げ、吾郎達を撮影し始めた。

「瞳子、ちゃんと俺のそばにいろよ?」
「はい、分かりました」
「あ!動くなよ?階段なんだから、足を踏み外したら大変だ」
「大丈夫です。ゆっくり歩きますから」
「ダメだ!お腹が大きくて足元見えないだろ?俺の腕にちゃんと掴まってろ」
「はーい」
「そんなんじゃダメだ。もっとしっかり、ピタッとくっついてろ!」

同じくブレブレの画面と恥ずかしい会話になり、今度は洋平がカメラを大河から取り上げた。

「泉、ちゃんと横にいるか?」
「大丈夫、いるわよ」
「海斗は?平気か?」
「大丈夫だってば。ちゃんと抱っこしてます」
「おい、階段気をつけろよ?海斗抱いたまま足を踏み外すなよ」
「そんなことしません」
「油断するな!しっかり俺と腕を組んでるんだ」
「えー、海斗抱いたまま腕組めない」
「なにー?それなら俺が海斗ごと泉を抱くから」

結局夫婦3組とも、こっ恥ずかしいセリフがビデオにしっかり残ることとなった。
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