極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
「ね、瞳子さん。赤ちゃんの性別、ほんとに聞いてないんですか?」

吾郎と莉沙がトオルを抱いて大階段で記念撮影している間、階段の下で亜由美は瞳子の大きなお腹に目をやって尋ねる。

「うん、聞いてないよ。先生はバッチリ分かったっておっしゃってたけどね」
「えー、私だったら我慢出来ない。分かったらすぐに教えてください!って、毎回エコーの時に言ってるんです」
「そうなんだ。泉さんの時は?性別、聞いたんですか?」

ん?と、海斗を抱いた泉が振り返る。

「ああ、生まれる前のこと?それがね、聞く前に見えちゃった。あはは!」

なるほどー!と、亜由美と瞳子は頷く。

「男の子ならそういうこともあるって聞きますもんね。じゃあ瞳子さんの赤ちゃんは、女の子かな?」

亜由美は人差し指を口元に当てて、じっと瞳子のお腹を見つめる。

「お腹もまあるい感じだし、やっぱり女の子じゃないですかね?」
「女の子なら瞳子ちゃんに似て、とびきり美人になるわよねー」

亜由美と泉の会話を聞きながら、瞳子は少し苦笑いする。

「ん?どうかしたんですか?瞳子さん」
「うん、それがね。これは単なる私の勘なんだけど…。なんとなく男の子のような気がするの」
「ええ?!どうして?」
「だって、想像つくんだもん。大河さんそっくりの男の子が、むむっ!て眉間にしわを寄せて産まれてくるのが」

そう言うと、亜由美も泉も笑い出す。

「確かに!今頭の中で、まさにその姿が想像出来ちゃった!」
「ほんとほんと!これはもう間違いないわね」
「でも瞳子さんそっくりの女の子も見てみたいなー」
「あら、いずれ女の子も産まれてくるわよ。2人目か3人目に。ね?瞳子ちゃん」

真顔で泉に聞かれて、瞳子は顔を赤くする。

「そ、そうです、かね?はい」
「大河さん、ああ見えて子煩悩なパパだろうなー。瞳子ちゃん、もう4人作っちゃえば?」
「あ!泉さん、それナイス!4人でベビープラネッツ!」
「上手い!亜由美ちゃん」

あははー!と笑う亜由美と泉に、瞳子は、ええー?!とおののく。

だがすぐあとに、それもいいな、と呟いて微笑んだ。
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