極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
第四章 お姫様ごっこ
「おっはよーん!」
「おお、透!久しぶり。どうだった?モルディブは」
「うん、もうさいっこう!だったよ。ありがとう、10日間も休ませてもらって」
「いや、楽しかったようで何よりだ」
「はい、これ。お土産ね」
「おっ、サンキュー!」

次の日。
新婚旅行から帰ってきた透がオフィスに現れると、洋平と吾郎は笑顔で歓迎した。

「透、昨日帰国したばっかりだろ?今日も休んで良かったのに」
「しかも今日はクリスマスイブだ。亜由美ちゃんを一人にさせるんじゃないぞ?」

吾郎と洋平の言葉に、透は嬉しそうに頷く。

「うん、ありがとう。お言葉に甘えて今日は5時に上がってもいいかな?」
「もちろん。俺も泉に早く帰るって言ってあるから、そうするわ」

二人のやり取りに、吾郎は、くうー!と苦悶の表情になる。

「あー、羨ましい!クリぼっちは俺だけか。よーし、俺はバリバリ仕事するぞ!内海不動産の件、ものすごいもの作ってやる!」

すると透が目を丸くする。

「内海不動産?そんな大きなところから仕事もらったの?」
「そうなんだよ。俺には仕事の女神が微笑んでくれてるらしい」

早速3人でミーティングを始める。
大河は、午前中はリモートワークで午後に少し出社するとのことだった。

「なるほど、新築分譲マンションね。うわー、いいな、このマンション」
「だろ?一つの街みたいに、公園やクリニック、保育所にスーパー、プールつきのジムやカラオケルームまで入るらしい。ファミリーにはうってつけだな。透、新居にどうだ?」
「うん、今かなり惹かれてる」
「パンフレット渡すから、亜由美ちゃんとも相談してみなよ」
「ありがとう!吾郎」

と、横から洋平が笑い出した。

「吾郎、お前マンションの営業マンかよ?」
「あはは!ほんとだよ。俺、ちゃっかり売り込まれちゃってた。なかなかやり手な営業マンだな、吾郎」

二人の言葉に吾郎は苦笑いする。

「なんか、俺って…。今は仕事に打ち込めって暗示なのかもなあ?ま、それもいいか」

ははっと笑って、吾郎はミーティングを続けた。
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