極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
「もう、本当に大丈夫だったら」
「いーや。ずっとステージに立ってたし、さっきも俺の所まで走り寄って来ただろ?悪化したらどうする」

ようやくいつもの調子に戻ると、またしても大河は瞳子を抱き上げて、車に乗せた。

運転席に回ってエンジンをかけると、大河は瞳子の服装を見て残念そうにする。

瞳子は控え室で、ジーンズとニットに着替え直していた。

「せっかく綺麗なドレスだったのに。なんで着替えたんだ?」
「ええ?!最初は大河さん、誰にも見せたくないって言ってなかった?」
「俺以外の男にはね。でも俺には見せて欲しい」
「そ、そんな…」

真剣な表情で言われ、瞳子は顔を赤くする。

「せっかくのクリスマスイブだし、雰囲気のいいレストランでディナーを楽しみたかったのに」
「でも、今夜はどこも混んでますよ?」
「そうか、そうだな。それに瞳子の足も心配だ。今夜はうちでゆっくりしようか」
「はい!そうしたいです」

にっこり笑う瞳子に、大河は思わずふっと笑みをもらす。

「可愛いな、瞳子。うちなら人目を気にせず、ずっとイチャイチャ出来る。覚悟しとけよ?」

うっ…と、瞳子が身をすくめた時、スマートフォンにメッセージが届いた。

「あっ、吾郎さんだ。無事に届いたのかなー?」

ふふっと微笑みながら、瞳子はメッセージを読む。

『瞳子ちゃーん!チキンにワインにケーキ、ありがとー!うっうっ、クリぼっちの心に、瞳子ちゃんの優しさが染み渡ったよー。メリークリスマース!ありがとうございマース!』

あはは!と声を上げて笑うと、大河は怪訝そうに眉を寄せた。

「吾郎がどうかした?」
「ふふっ、ちょっとね」
「なにー?!俺には言えない、吾郎と内緒の話?」
「もう、大河さんったら。違うってば。ほら、早く帰っておうちでクリスマスパーティーしよう?」
「ああ、うん。そうだな。早くイチャイチャしよう」
「ええ?クリスマスパーティーでしょ?」
「うん、そう。イチャイチャパーティー」

大河さん!と横目で睨む瞳子に、あはは!と笑って、ようやく大河は車を発進させた。
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