極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
「うわー、広い!大きい!想像以上ですよ。植栽も全てプロヴァンスのイメージに合わせてるんですね」

現地に到着すると、吾郎は圧倒されたように辺りを見渡す。

まだマンションは建築途中だが、道は整備され、歩道には緑の木々が等間隔で綺麗に並んでいた。

マンションは白い外壁に明るいオレンジがアクセントになっており、異国の街にさまよい込んだような気分になる。

「凄いなー。ここに住めたら、毎日が楽しいでしょうね」

吾郎が思わずそう言うと、原口は嬉しそうに頷く。

「ええ。弊社が自信を持ってオススメできる物件です。都筑さんのご自宅にもいかがですか?」
「いやー、しがない独り身には広すぎますよ」
「あ、まだ独身でいらっしゃいますか。では将来を見越して先にお住いだけでも…」
「あはは!さすがは営業マンですね、原口さん。売り込み方がお上手です。私は全く結婚の予定はないので、投資するには尻込みしますが、実はうちのオフィスでは結婚ラッシュでして。先月結婚したメンバーにここのパンフレットを見せたら、興味津々でしたよ」
「そうですか!でしたら是非ご来場をお待ちしております」
「はい、伝えておきます」

そのあとは、原口の説明を聞きながらゆっくりと敷地を歩いて回る。

若手の安藤は、まだ勉強中の身なのだろう。
今日も黒のスーツで眼鏡をかけ、髪を後ろで一つにまとめて、カリカリと熱心にメモを取っていた。
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