極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
第九章 わくわくドキドキ?
「瞳子さん、見て見て!このお洋服、背中に羽があるの。めちゃくちゃキュート!」
「わー、ほんとだ!可愛い!」

3日後。
瞳子と亜由美は互いの休みに合わせて、出産祝いを買いに出かけた。

そのまま午後の面会時間を待って、泉の入院している病院にお見舞いに行く予定だった。

「ベビー服ってこんなに小さいんですね。あーん、どれもこれも可愛くて選べないー」
「ほんと、ほんと」

二人ではしゃぎながら買い物を終えると、カフェでランチにする。

「それでね、あの日の夜、透さんがいつになく真剣に聞いてきたんです」

美味しいガパオライスを食べながら、亜由美が身を乗り出して小声で話し出した。

「あの日って、泉さん達の赤ちゃんが産まれた日?」
「そう。マンションに帰って来てからも、私がしきりに『赤ちゃん可愛いー』って写真を眺めてたら、透さん、急に真顔で『亜由美、赤ちゃん作ってもいい?』って」

ゴホッ!と瞳子はのどを詰まらせる。

「大変!大丈夫?瞳子さん。ほら、お水お水」
「あ、ありがと」

瞳子はなんとか水を飲んで気持ちを落ち着かせた。

「あー、びっくりした」

ふう、とひと息つくと同時に、瞳子は顔を赤くする。

(亜由美ちゃんたら、なんてセリフを…)

だが亜由美は淡々と話を続けた。

「透さん、私がまだ若いから、赤ちゃんはもっと先でいいって考えてると思ってたんですって。でも俺は早く亜由美との赤ちゃんが欲しいんだって。言うつもりはなかったけど、亜由美があんまり、赤ちゃん可愛い!ってニコニコしてるから、どうしても言いたくなったって」
「そ、そうなのね」

としか答えようがない。

「だから思わず私も言っちゃったんですよねー。透さんとの赤ちゃん、早く欲しい!って」
「え、そうなの?」
「はい。で、そのあと早速…」
「あああ亜由美ちゃん、そそそのあとの話は大丈夫だから」
「そうですか?あー、赤ちゃん出来たかなー?わくわくドキドキですよ」
「そ、そうね。私も今、別の意味でドキドキよ」
「え?じゃあ瞳子さん達も、早速赤ちゃん作っ…」
「ああああ亜由美ちゃん!ほら、早く食べちゃいましょ!面会時間始まっちゃうわよ」
「あ、たーいへん!じゃあ、パクパク食べまーす」
「そうそう、パクパクね、パクパク」

瞳子は真っ赤な顔でバクバクしながら、ガパオライスをひたすら口に運んだ。
< 40 / 141 >

この作品をシェア

pagetop