極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
「都筑さん、今日は本当にありがとうございました!いやー、初日からすごい勢いのお申し込み件数ですよ。部長もホクホクしてました」

夕方になり、モデルルームがクローズすると、原口と安藤が吾郎に挨拶に来た。

「こちらこそ、ありがとうございました。機械トラブルなどもなかったでしょうか?」
「ありませんとも!コンテンツはどれもこれもスムーズで、お客様も食い入るように見ていらっしゃいました。それに子ども達も!都筑さんのおかげで子ども同士が盛り上がり、それを見てお母さんも、ここにしようとお父さんにお話されてましたよ」
「それは良かったです。やはりご両親にとっては、お子様が引っ越し先で上手く馴染めるかどうかが心配ですもんね」

原口と安藤は、吾郎の言葉に大きく頷く。

「俺達営業マンがご両親に必死になって説明しているところに、都筑さんのところから戻ってきたお子様が、ここに住みたい!ってひと言言った途端、じゃあそうするか!って。もう拍子抜けするくらいでしたよ。安藤、お前さ、俺の補佐ではなくて、明日からしばらく都筑さんの横で勉強させてもらってくれ」

ええ?!と吾郎が驚くが、二人はいたって真剣だ。

「分かりました。私もお子様へのフォローがとても重要だと今日しみじみと感じました。都筑さん、明日からそばで勉強させていただけないでしょうか?」
「は、はあ。かしこまりました。何も参考にはならないかと思いますが…」
「とんでもない!私達営業のノウハウにはないことを、都筑さんから学ばせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします」

そして次の日から、安藤はピタリと吾郎のそばについて、一緒にお子様への対応を担当するようになった。
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