極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
「いやー、無事に最後のお客様からもお申し込みを頂きましたよ。都筑さん、今日もありがとうございました!」

満面の笑みで声をかけてくる原口に、吾郎も笑顔で答える。

「それは良かったです。少しでもお役に立てれば、私も嬉しいです」
「少しどころか、もうおんぶに抱っこってくらい、都筑さんにはお世話になってますよ。な?安藤」

原口が振り返ると、安藤はズイッと吾郎に顔を近づけた。

「はい!本当に都筑さんにはお世話になりっぱなしです。私もどんなに心強いか。ありがとうございます!都筑さん」
「あ、いや、その。どういたしまして」

おかしいだろ?というくらい、自分に顔を近づけてくる安藤に、吾郎は思わず後ずさる。

原口もその様子に、ん?と眉根を寄せた。

「安藤、眼鏡はどうした?」
「それが、壊れてしまって…」

あ、それでこんなに顔を近づけてくるのかと、吾郎は合点がいった。

「じゃあ今、ほどんど何も見えてないのか?」
「はい、そうなんです。ものすごい近眼なので、ぼんやりとしか」
「そうか。それならここはもういいから、今日は上がれ。眼鏡作りに行って来な」
「よろしいのでしょうか?」
「ああ。その様子じゃ、片付けも出来そうにないからな」
「はい。では今日はお先に失礼させていただきます」

安藤に続き、吾郎も原口に、それでは私も失礼いたしますと挨拶してから、モデルルームの出口に向かった。
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