極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
自動ドアを出て緩やかな階段を下りていると、すぐ後ろからズダッと音がして、吾郎は振り返る。
安藤が足を滑らせて、手すりにしがみついていた。
「ちょっと、大丈夫?」
慌てて駆け寄って手を貸す。
「あ、はい。大丈夫です。すみません」
そう言って謝ってくるが、顔がまた至近距離に寄せられる。
(いや、近いから!)
吾郎はさり気なく後ろに下がった。
「眼鏡屋さんまでどうやって行くの?」
「えっと、ここから駅まで歩いて、電車で自宅の最寄り駅へ行きます。そこから歩いて10分のところに、行き付けのお店があるので…」
「果たして無傷でたどり着けるのやら…」
小さく呟くと、ん?と安藤が顔を近づけてくる。
(だから近いって!)
吾郎は後ずさると、安藤に提案した。
「それなら俺が車で送るよ。眼鏡なしだと、ロクに歩けないみたいだから」
「いえ、そんな!これ以上都筑さんにご迷惑をおかけする訳にはいきませんから!」
身を乗り出して力説するが、とにかく近い!
吾郎は安藤の腕を取ると、ゆっくりと歩き出した。
「ほら、つべこべ言わずに行こう。眼鏡屋さん、閉まっちゃうぞ?」
「え!それは大変!」
吾郎は駐車場に停めてあった車まで行くと、助手席のドアを開けて安藤を促す。
足を段差に引っかけてつんのめる安藤を、「おっと!危ない」と後ろから抱き留め、なんとかシートに座らせた。
ふう、やれやれと運転席に回ると、安藤がまたグッと顔を寄せてきた。
「都筑さん、本当に申し訳ありません。このご恩は決して忘れません。必ずや後日お返しを…」
「うん、分かった。それはいいから、とにかく近い!」
「は?」
「いいから、シートベルト締めて」
「あ、はい!すみません」
安藤は慌ててシートベルトに手を伸ばすが、バックルの位置もよく見えないらしい。
吾郎は安藤の手を上から握って、カチッとバックルに差し込んだ。
「ありがとうございます」
「どういたしまして…って、近いから!」
このままだと唇が触れそうだ、と、吾郎は顔を離して前を向き、ハンドルを握った。
安藤が足を滑らせて、手すりにしがみついていた。
「ちょっと、大丈夫?」
慌てて駆け寄って手を貸す。
「あ、はい。大丈夫です。すみません」
そう言って謝ってくるが、顔がまた至近距離に寄せられる。
(いや、近いから!)
吾郎はさり気なく後ろに下がった。
「眼鏡屋さんまでどうやって行くの?」
「えっと、ここから駅まで歩いて、電車で自宅の最寄り駅へ行きます。そこから歩いて10分のところに、行き付けのお店があるので…」
「果たして無傷でたどり着けるのやら…」
小さく呟くと、ん?と安藤が顔を近づけてくる。
(だから近いって!)
吾郎は後ずさると、安藤に提案した。
「それなら俺が車で送るよ。眼鏡なしだと、ロクに歩けないみたいだから」
「いえ、そんな!これ以上都筑さんにご迷惑をおかけする訳にはいきませんから!」
身を乗り出して力説するが、とにかく近い!
吾郎は安藤の腕を取ると、ゆっくりと歩き出した。
「ほら、つべこべ言わずに行こう。眼鏡屋さん、閉まっちゃうぞ?」
「え!それは大変!」
吾郎は駐車場に停めてあった車まで行くと、助手席のドアを開けて安藤を促す。
足を段差に引っかけてつんのめる安藤を、「おっと!危ない」と後ろから抱き留め、なんとかシートに座らせた。
ふう、やれやれと運転席に回ると、安藤がまたグッと顔を寄せてきた。
「都筑さん、本当に申し訳ありません。このご恩は決して忘れません。必ずや後日お返しを…」
「うん、分かった。それはいいから、とにかく近い!」
「は?」
「いいから、シートベルト締めて」
「あ、はい!すみません」
安藤は慌ててシートベルトに手を伸ばすが、バックルの位置もよく見えないらしい。
吾郎は安藤の手を上から握って、カチッとバックルに差し込んだ。
「ありがとうございます」
「どういたしまして…って、近いから!」
このままだと唇が触れそうだ、と、吾郎は顔を離して前を向き、ハンドルを握った。