極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
「わー、可愛いな!ここに来る?うちの子かな?」
「ふふ、そうですよ。うちの子です」

吾郎の隣にピタリと止まったロボットからサラダを取り、安藤はバイバーイ!と手を振って見送る。

その後も、吾郎のおつまみ3点セットや、安藤が追加注文したパスタをロボットが運んで来る度に、二人はワイワイ盛り上がった。

「いい子だなー、こっちだぞー」
「トオルちゃーん、おいでおいで!」
「ト、トオルちゃん?!」
「ええ。だって都筑さんのところのワンちゃん、トオルちゃんなんでしょ?」
「いや、それはだな…」
「なんだか意外ですねー。都筑さんが子犬飼ってるなんて」

安藤は楽しそうに笑いながら、ロボットからパスタ皿を取る。

「バイバーイ!あー、また来て欲しいから、デザートも頼んじゃおう!」

吾郎はふと顔を上げて、安藤の様子を見つめる。

コンタクトにしたせいか、大きな目をキラキラさせて、仕事中の彼女からは想像もつかないほど表情も明るかった。

(本来はこういう性格なのかな?楽しそうに笑ったり、お酒に酔っ払ったり。仕事では、普段の自分を封印してがんばってるんだろうな)

早く仕事にも余裕が出来て楽しめるようになるといいのに、と思いながら、吾郎は安藤の笑顔を優しく見つめていた。
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