極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
ビジネスクラスの機内でも、大河は事あるごとにキスを迫っては瞳子に止められ、続きはパリでな…を繰り返す。

長いフライトのあと、ようやく二人は夕方のシャルル・ド・ゴール空港に降り立った。

「やったー、着いたー!ボンジュール、おフランスー!」

空港から外に出ると、瞳子は両手を挙げて喜ぶ。

大河は慣れた様子で瞳子をタクシーに促し、パリ市内のホテルに向かった。

運転手とのやり取りやホテルのチェックインの際もフランス語を使う大河に、瞳子は驚いて目を丸くする。

「大河さん、フランス語も話せるの?」
「ん?いや」
「でも話してますよね?」
「簡単な旅行会話だけだよ」
「充分ですよ。私、英語だってイマイチなのに」
「瞳子もきっと、帰る頃には少しフランス語覚えてるよ。神戸に行った時も関西弁しゃべってたし」
「え、それと同じなの?」
「同じだよ」

ほんとに?と疑う瞳子に、ほら、早く部屋に行こうと大河は肩を抱く。

大河の予約したホテルは、5つ星を超える最高級のホテル称号「パラス」を与えられた宮殿ホテル。

外観もロビーの内装もゴージャスなら、案内された部屋もラグジュアリーでゆったりとした素晴らしい部屋だった。

「ひゃー!素敵!もう映画の世界ね」

瞳子はうっとりと両手を組んであちこちを見渡し、窓からの景色に目を奪われた。

しばらく部屋でコーヒーを飲みながらくつろぐと、少しオシャレしてディナーに出かける。

向かった先は、ライトアップされたエッフェル塔が見えるアール・デコ調のレストラン。

テラス席から美しいエッフェル塔を眺め、瞳子はあまりのロマンチックな雰囲気に感嘆のため息をつく。

「素敵ね…。もう言葉も忘れて魅入っちゃう」

微笑みながらエッフェル塔を見つめる綺麗な瞳子の横顔を、大河は何枚も写真に収めた。

この旅行中、瞳子の写真で確実に容量がオーバーするな、と心の中で独りごちながら。
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