極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
コンコルド広場を訪れると、瞳子は大河のシャツの袖をギュッと握りしめて身を寄せてくる。

「あの、大河さん。ここって、フランス革命の時に刑が行われた場所なのよね?その…、ルイ16世とマリー・アントワネットの」
「ああ、そうだよ」

そう言って大河は、広場の中央にそびえ立つ、エジプトのルクソール神殿から運ばれた23mのオベリスクと呼ばれる石碑に瞳子を連れて行く。

「ここにプレートがあるだろう?その事実が刻まれているんだ」
「なんて書いてあるの?」
「えっと、『1763年にルイ15世の広場と名づけられ、1792年11月から1795年5月までは革命広場と呼ばれたこの広場は、公開処刑が行われていた場所である。その中には1793年1月21日のルイ16世と、1793年10月16日のマリー・アントワネットが含まれる』という意味かな」
「そうなのね…」

瞳子は歴史の重みを感じつつ、神妙な面持ちでじっとプレートを見つめる。

大河はそんな瞳子の肩を、優しく抱き寄せていた。
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