極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
誰もいない静かな西のテラスから夜景を眺めている時だった。

「瞳子」
「はい」

ふいに呼ばれて、瞳子は大河を見上げる。

「瞳子と一緒にここに来られて、本当に良かった。改めて、俺と結婚してくれてありがとう」
「大河さん…」

思いも寄らない言葉に、瞳子は胸が詰まる。

「これは、瞳子への誕生日プレゼント」
「えっ?!」

大河が差し出した小さなケースに、瞳子は目を見開く。

「そんな、だって…。プレゼントはこのフランス旅行でしょう?」
「そうだな。誕生日プレゼントに何が欲しい?って、何度聞いてもいらないって言うから、そういうことにしておいた。けど、俺が瞳子にこれを贈りたいんだ。受け取ってくれる?」

そう言って大河は、ジュエリーケースをそっと開いた。

中には、煌めくひと粒ダイヤのネックレス。

まるで目の前に広がる星空から、星が一つ落ちてきたようだと瞳子は思った。

「こんな素敵なネックレスを?大河さん、私、受け取ってもいいの?」
「当たり前だろ?瞳子の為に選んだんだから。瞳子の美しさには、オーセンティックなジュエリーが本当によく似合う。毎年瞳子の誕生日には、俺が贈りたいものをプレゼントしたい。それとも欲しいものをリクエストしてくれる?」
「いえ。私、欲しいものなんてなくて…」
「それなら、瞳子にプレゼントを選ぶ楽しみを俺にくれる?」
「えっと、はい」
「良かった」

大河は優しく微笑むと、ケースからネックレスを取り、そっと瞳子の首に腕を回して着けた。

「よく似合ってる。瞳子は俺の一等星だな」

瞳子は胸に輝くダイヤモンドに手を触れて、目を潤ませる。

「大河さん、ありがとうございます。こんなにも私を大切にしてくれて。私、本当に幸せで、胸がいっぱいで…」
「俺の方こそ、瞳子に幸せにしてもらっている。ありがとう、瞳子」

そう言って大河は、両腕で瞳子を胸に抱きしめた。

「誕生日おめでとう、瞳子」
「ありがとうございます、大河さん」

大河は少し身体を離して瞳子を見つめると、たくさんの愛を込めてそっとキスをする。

満天の星達が、そんな二人をいつまでもキラキラと彩っていた。
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