極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
それからしばらくはアートプラネッツのオフィスで、吾郎はモデルルームのコンテンツをブラッシュアップする作業に追われていた。

プリントアウトした大量の資料の上に、大河からもらったフランス土産のペーパーウエイトを載せると、「ああっ!」と大河が大きな声を出す。

「びっくりしたー。なんだよ?大河」
「それ!その凱旋門!ペーパーウエイトだったのか」
「はあ?何言ってんだよ。大河が買ってきてくれたんだろうが」
「そうだけど。俺も瞳子も、なんだかよく分からんものって買ってきた」

おい!と吾郎は真顔で突っ込む。

「何だよ?よく分からんものを土産にするって」
「だってさ、なんだかよく分からんが、『凱旋門吾郎』って感じで似合ってるって瞳子が」

すると洋平と透が、ブッ!と吹き出して笑い始めた。

「ははは!凱旋門吾郎!めちゃくちゃ似合ってる」
「ほんとほんと!アリシア、上手いねー!」
「だろ?みんなのお土産、それぞれネーミングしてたぞ。クロワッサン透とエッフェル洋平って」

ヒーッ!と二人はお腹を抱えて笑い転げる。

「確かに!透、そのクロワッサンのクッションに顔面突っ込んで、よくデスクで昼寝してるもんな」
「洋平だって、そのすかした感じにエッフェル塔が似合ってるよ」
「でも一番似合ってるのは…」

三人は一斉に吾郎を見て声を揃えた。

「凱旋門吾郎!」

「やめんかーい!」

大声で遮るが、三人はゲラゲラ笑う一方だった。
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