極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
「ただいまー」

マンションの玄関を開けて声をかけると、リビングから「アン!」と返事が聞こえてきた。

「ただいま、トオル。いい子にしてたか?」

サークルから抱き上げて、頭をワシャワシャとなでる。

トオルは嬉しそうに尻尾を振りながら、吾郎の顔をぺろぺろと舐めた。

「ははは!熱烈歓迎だな。お腹空いただろ。ご飯にするぞ」

ドッグフードを食べるトオルを隣で見守りながら、吾郎はソファの前のローテーブルで牛丼を食べる。

いつもならダイニングテーブルで食事をしていたが、トオルが来てからは、トオルのそばで食べるのが当たり前になっていた。

外食も全くしなくなり、仕事も出来るだけ早く切り上げてマンションに帰る。

「あー、なんか癒やされるな。お前がいてくれるなら彼女はいらないや。な?トオル」

食事のあとに膝の上でトオルをなでていると、トオルもアン!と返事をする。

「俺達、相思相愛だな。やべー、男同士なのにな。あいつの前では絶対に言えないけど、大好きだぞー、トオル!」
「アン!」
「ははは!ほんとに可愛いな、トオル」
「アン!」

寝る時もベッドで一緒に眠る。
もはやトオルのいない生活は考えられない。

ますます恋が遠のいていく気がするが、トオルがいてくれるならそれで構わないと、吾郎は本気で思い始めていた。
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