極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
「うーん…」

マンションで動画の編集作業をしながらも、吾郎はどこかスッキリしない。

何がそんなに気になるのか。
自分よりも安藤になつくトオル?
トオルを笑顔で見つめる安藤?

「いやいや、とにかく今は紹介映像を作らねば」

吾郎は淡々と作業を進めた。

全速力でドッグランを駆け回るトオルだけを切り抜いてみたが、どうしても最後に安藤に飛びつくトオルと、満面の笑みでトオルを抱きしめる安藤のワンシーンを入れたくなる。

自分では判断出来ず、結局2つのパターンを用意して、先方に選んでもらうことにした。

モデルルームに行き、木谷や原口、安藤に見せると、最後のワンシーンがあった方がいいと言われ、安藤もそれを承諾する。

そして映像やコンテンツ、全てのブラッシュアップを終えて、納品も無事に済ませた。

めでたく全戸完売となった、と連絡が来たのは、それから3週間後のことだった。
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