いつかまた一緒に
関西吹奏楽コンクール。それは、吹奏楽部に所属する人にとって夏の一大イベントだ。みんな全国大会を目指し、先輩や後輩と一致団結して練習に取り組む。吹奏楽部は文化部だけど、その練習は運動部と変わらないくらいハードだ。

僕は滝本律(たきもとりつ)。中学三年生。担当楽器は吹奏楽の花形と言っても過言ではないトランペット。このコンクールで金賞を取らなければ、僕たち三年生はここで引退。高校受験に向けて今度は勉強を頑張らなくてはならない。

今回のコンクールに出場したのは約三十校。全ての学校の演奏が終わり、審査員が金賞などを話し合って決める。その間、僕たち吹奏楽部の部員たちは演奏が無事に終わったことにホッとしつつ、審査員が下す結果のことを考えて緊張していた。

「緊張するな」

「金賞取って全国行けるといいね」

「ヤバい、俺あそこでミスったかもしれない」

僕の心にも緊張が生まれていく。すると部長の佐藤歩美(さとうあゆみ)と副部長の田端翔太郎(たばたしょうたろう)が話しかけてくれた。
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