いつかまた一緒に
「すごくよかった……。どうして滝本くんの学校がダメ金だったのかわからない」

「宍戸さんの学校だってすごいよ。……ねぇ、宍戸さんの演奏聴いてもいい?」

宍戸さんはコクリと頷くと、ユーフォニアムを吹き始める。美しい低音と高音が交差する。一般的にはあまり知られていない楽器だと思うけど、ソロでもハーモニーでも存在感があって、バンドの音色の決め手にもなる重要で魅力の詰まった楽器だ。

ユーフォニアムを吹く宍戸さんの目はキラキラしていて、とても楽しそうだ。吹奏楽を、ユーフォニアムを、心の底から愛してるんだなってわかる。胸がドキドキして苦しい……。

宍戸さんはユーフォニアムから口を離すと、僕をジッと見た。僕の顔に何かついているのかな……。顔が熱くなる。宍戸さんは少し緊張したようにモジモジしながら言った。

「一緒に演奏しよう?」

「うん!」

僕たちが演奏することにしたのは、エドワード・エルガーの威風堂々。有名な曲だ。吹奏楽を知らない人でもきっと音を聴けばわかると思う。
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