彼の愛に、堕ちて、溺れて。〜再会した幼馴染みの愛は、深くて重い〜
2
《実杏side》


 どうして私は、逃げなかったんだろう。

 彼の部屋のベッドに放され、同意した事になる――なんて問い掛けられた時、何故かそれに頷いてしまったのは一体何でなのだろう。

 私が頷いた瞬間、翅くんは私が着ていたカーディガンを剥ぎ取るように脱がすと、そのまま両腕を掴み上げてキャミソールを捲り上げ、それすらも脱がされてしまう。

「……やっ……」

 それによって私は上半身何も身に付けていない状態になってしまい、恥ずかしくてすぐにでも隠したいのに、腕を掴み上げられたままで隠す事も逃れる事も出来ず、ただ恥ずかしさに耐えるだけ。

 そんな私を黙って見つめる翅くんの視線に耐え切れず、「……お願い、離して……っ」と小さい声で懇願するも、

「チャンスはやったろ? あの時退かなかったお前が悪い。俺はもう、何を言われても止める気ねぇから」

 瞳をギラつかせながら私の瞳を捉え、

「――ッんん……!」

 ベッドに押し倒されたと同時に私に覆い被さった彼が強引に唇を塞いできた。

 張り付けられているかのように身体はベッドに押し付けられ、奪われた唇は何度も何度も角度を変えながら息つく暇も無い程に貪られていく。

「んんっ、……っふぁ……、」

 ようやく息継ぎが出来たかと思いきや、僅かな隙間から彼の舌が口内に侵入して来て、そのまま無遠慮に侵されていく。

「ん、……っぁ、はぁ……んッ――」

 そして舌を絡め取られ、キスだけでイきそうになる程の快楽が与えられた。

(何これ、こんなキス……知らない……。何も、考えられない……)

 身体の力は抜け、頭はボーっとする。

 そんな私の唇を突如解放した翅くんは耳元に顔を近付ける。

「これだけで終わりだなんて、思うなよ?」

 そして、囁くように言葉を発し、

「ッん、ぁっ……」

 耳朶を甘噛みしたかと思えばすぐに舌で舐められて首筋へ移動していき、私の反応を楽しみながらゆっくり、ゆっくりと舌を這わせていく。
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