彼の愛に、堕ちて、溺れて。〜再会した幼馴染みの愛は、深くて重い〜
「や、やだっ!!」

 何も身に纏っていない事に気付いてしまった私は恥ずかしさから両手で胸元辺りを隠すも大して意味の無い行為だと思い、とにかく一刻も早くこの場から出て行こうとするけれど、

「待てよ」
「え、ちょっ……?」

 翅くんが腕を掴んできた事で私はその場から動けなくなってしまう。

「翅くん、離して……?」
「嫌だ」
「なっ……んで」
「そんな格好してるアンタが悪い」
「ちょっ――」

 そして私は翅くんの胸元へ引き寄せられると、前を向かされて向かい合う形になる。

「翅くん、私、急ぐから……」
「送ってやるから、それならまだ余裕あんだろ?」
「それは……」
「つーか、アンタは俺に逆らえる立場じゃねぇよな?」
「そ、うだけど……」

 何とか彼から逃れようとするも、それを言われてしまうと何も言えなくなってしまう。

「でも――」

 私はその後に『準備はしないとならないから』と言葉を続けたかったのだけど、それは翅くんによって遮られた。

 彼の左手が私の腰へと回され、右手で顎を持ち上げられた私の唇が彼の唇に塞がれたのだ。

「っん、……っ」

 どうして、こうなってしまうのだろう? 今はこんな事をしてる場合じゃないのに、彼のペースに飲まれてしまう。

 翅くんとのキスが、気持ち良い。

「……っん、……はぁ、……つばさ、くん」

 止めなきゃいけないのに、止まらない。

 啄むようなキスから貪るような乱暴なキスへと変わり、酸素を求める為に口を開こうものならその隙をついて翅くんの舌が口内へと侵入してくる。

「……ッん、……はぁ、……っん、」

 キスだけだというのに私の子宮は疼いていき、もの凄く切なくなる。

「足りないって顔、してるな」

 そんな私に気付いたらしい翅くんは唇を離し、口角を上げて悪戯っぽい笑みを浮かべると、

「してやりてぇけど、ゴムがもうねぇからな…………指で、イかせてやるよ」
「ちょ、翅くん!?」

 軽々と私の身体を抱き上げてベッドの上に降ろすと、彼は私の上に跨った。

「ほんとに、もう、いいから……っ」
「黙れよ。俺の言う事は絶対――だろ?」

 そんな言葉を耳元で囁かれ、そのまま彼は耳朶や首筋に吸い付くように唇を這わせてくる。

 そして彼の指が気持ちいいところを沢山刺激してきた事で、私は指だけでイかされていた。
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