【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
「私、これでも王子の妻なのよ。……ルーシャン殿下のことは好きじゃないわ。だけど、立場はわきまえているつもり」

 たとえ、かかわるようになってまだ少ししか経っていないとしても。ドロシーはルーシャンに様々な感情を抱いていた。それが好意や恋愛感情なのかと問われれば、答えることはできないが、情だけは移っているつもりだった。

「……お嬢様」
「わかったら、もう私を止めるようなことしないで頂戴。……今は、一分一秒が惜しいのよ」

 それだけを言って、ドロシーは薬草を煎じる工程に戻っていく。

 ポーション作りには魔力が必要だ。それは、ポーションを作る際に魔法を使うから。はっきりと言って、ドロシーは魔力の量が人よりも多いとはお世辞にも言えない。だから、そろそろ限界が近いはずなのだ。

「っつ」

 その証拠に、身体は今にも倒れてしまいそうにふらついている。……それを見たため、リリーとしても我慢の限界だったのだろう。

 リリーはドロシーの手首をつかむと、「無礼を承知の上で、申し上げさせていただきます」と真剣な声音で告げてきた。

「……リリー?」
「お嬢様が、そこまでする必要性はこれっぽっちもありません」
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