【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
ダニエルが出て行ったのを見つめ、ドロシーは考え込む。ディアドラは王国の聖女をまとめている人物である。そして、ルーシャン曰く結界が壊された。それはつまり、聖女の中の誰かが行ったことだと考えるのが妥当だった。最悪のパターンかもしれないが、いつだって最悪の展開は思い浮かべておいた方が良い。そう、ドロシーは思っている。
「お嬢様、こちらに」
そんなことを考えていると、どうやら着替えの準備が終わったらしく、リリーがそう声をかけてくる。それを聞いたドロシーは、「わかった」と言ってリリーの元に駆け寄った。シンプルな紫色のワンピースと真っ白な上着を羽織り、髪の毛は手早く一つにまとめる。王妃の前に行くのだから、この格好はいささかシンプルすぎるかもしれない。けれど、今は一分一秒が惜しいのだ。自分をめかしこむ時間があるのならば、早く王城に行きたかった。
「リリー」
「はい、お嬢様」
「リリーは、ここで待っていて頂戴」
「……え?」
ドロシーの言葉に、リリーは怪訝そうな声を上げた。多分だが、彼女もついていくつもりだったのだろう。
だが、ディアドラが直々にドロシーを呼んだということは、機密事項がある可能性がる。ドロシーはディアドラの信頼をそこそこ得ている自覚があるのだ。調合についての知識を、買ってくれていると自負している。
「私、一人で行くわ」
凛とした声でそう告げれば、リリーは「で、ですが……!」と言って口ごもる。やはり、ドロシー一人では不安らしい。
確かに、貴族の令嬢が一人で行動するなど褒められたことではない。それは、ドロシーだってわかっている。だけど。
「大丈夫、ダニエルがいてくれるわ。私、これでも彼のことはそこそこ信頼しているのよ」
「……そう、ですか」
無理に笑みを作って、ドロシーはリリーを納得させた。
男性が大層苦手なドロシーではあるが、最近ダニエルはまだ大丈夫になってきていた。いつもいつもルーシャンに振り回される彼を、不憫にも思っている。まぁ、決して口には出さないが。
「お嬢様、こちらに」
そんなことを考えていると、どうやら着替えの準備が終わったらしく、リリーがそう声をかけてくる。それを聞いたドロシーは、「わかった」と言ってリリーの元に駆け寄った。シンプルな紫色のワンピースと真っ白な上着を羽織り、髪の毛は手早く一つにまとめる。王妃の前に行くのだから、この格好はいささかシンプルすぎるかもしれない。けれど、今は一分一秒が惜しいのだ。自分をめかしこむ時間があるのならば、早く王城に行きたかった。
「リリー」
「はい、お嬢様」
「リリーは、ここで待っていて頂戴」
「……え?」
ドロシーの言葉に、リリーは怪訝そうな声を上げた。多分だが、彼女もついていくつもりだったのだろう。
だが、ディアドラが直々にドロシーを呼んだということは、機密事項がある可能性がる。ドロシーはディアドラの信頼をそこそこ得ている自覚があるのだ。調合についての知識を、買ってくれていると自負している。
「私、一人で行くわ」
凛とした声でそう告げれば、リリーは「で、ですが……!」と言って口ごもる。やはり、ドロシー一人では不安らしい。
確かに、貴族の令嬢が一人で行動するなど褒められたことではない。それは、ドロシーだってわかっている。だけど。
「大丈夫、ダニエルがいてくれるわ。私、これでも彼のことはそこそこ信頼しているのよ」
「……そう、ですか」
無理に笑みを作って、ドロシーはリリーを納得させた。
男性が大層苦手なドロシーではあるが、最近ダニエルはまだ大丈夫になってきていた。いつもいつもルーシャンに振り回される彼を、不憫にも思っている。まぁ、決して口には出さないが。