【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
40.「あの人は大丈夫だって言うけれど、私はそうは思わないわ」
その後ドロシーが連れてこられたのは、今まで来たことがないフロアだった。豪華絢爛な廊下を歩き、一つの扉の前でダニエルが立ち止まる。そして、彼が扉をノックすれば、中から「どうぞ」という女性の声が聞こえてきた。その声は、とても凛としている。
「どうぞ、ドロシー様」
ダニエルが身体を横に逸らし、ドロシーに入るようにと促す。なので、ドロシーが扉の前に立てば、ダニエルは扉を開けてくれた。
部屋の中はとてもきれいだった。白を基調とした家具が配置されており、デザインも色合いもとても女性らしいもの。ルーシャンの部屋とはまた全然違った雰囲気に、ドロシーの視線があちこちに向けられる。が、疼く好奇心を押し殺しドロシーは部屋の中で待機していた一人の女性を見据えた。
緩く波打つ腰までの茶色の髪。おっとりとした印象を他者に与える紫色の目。その容姿はとても美しく、身にまとうドレスも合わさってかとても煌びやかな女性。しかし、下品な印象は与えない。凛とした態度から、自身に満ち溢れた印象を与えてくる。
「こんにちは」
女性――王妃ディアドラは、鈴のなるような可愛らしい声でドロシーにそう声をかけてきた。そのため、ドロシーも「お初にお目にかかります」とあいさつをし、ゆっくりと淑女の礼を披露する。
「かしこまらなくてもいいのよ。私と貴女は、義理とはいえ親子なのだから」
ドロシーの挨拶を聞いて、ディアドラはころころと笑いながらそう告げる。けれど、ドロシーからすれば相手は王妃。雲の上とまではいかないが、自分よりもずっと上の人物なのだ。さらには彼女は国王に溺愛されているというし、下手に刺激することは避けたかった。
「とりあえず、そちらにどうぞ。ダニエル。侍女にお茶を持ってこさせて頂戴」
「かしこまりました」
ディアドラはそれぞれに素早く指示を出していく。なので、ドロシーは言葉に甘えソファーに腰を下ろした。そうすれば、ディアドラは「可愛らしいわね」と言って口元を手で隠しながらころころと笑う。
「どうぞ、ドロシー様」
ダニエルが身体を横に逸らし、ドロシーに入るようにと促す。なので、ドロシーが扉の前に立てば、ダニエルは扉を開けてくれた。
部屋の中はとてもきれいだった。白を基調とした家具が配置されており、デザインも色合いもとても女性らしいもの。ルーシャンの部屋とはまた全然違った雰囲気に、ドロシーの視線があちこちに向けられる。が、疼く好奇心を押し殺しドロシーは部屋の中で待機していた一人の女性を見据えた。
緩く波打つ腰までの茶色の髪。おっとりとした印象を他者に与える紫色の目。その容姿はとても美しく、身にまとうドレスも合わさってかとても煌びやかな女性。しかし、下品な印象は与えない。凛とした態度から、自身に満ち溢れた印象を与えてくる。
「こんにちは」
女性――王妃ディアドラは、鈴のなるような可愛らしい声でドロシーにそう声をかけてきた。そのため、ドロシーも「お初にお目にかかります」とあいさつをし、ゆっくりと淑女の礼を披露する。
「かしこまらなくてもいいのよ。私と貴女は、義理とはいえ親子なのだから」
ドロシーの挨拶を聞いて、ディアドラはころころと笑いながらそう告げる。けれど、ドロシーからすれば相手は王妃。雲の上とまではいかないが、自分よりもずっと上の人物なのだ。さらには彼女は国王に溺愛されているというし、下手に刺激することは避けたかった。
「とりあえず、そちらにどうぞ。ダニエル。侍女にお茶を持ってこさせて頂戴」
「かしこまりました」
ディアドラはそれぞれに素早く指示を出していく。なので、ドロシーは言葉に甘えソファーに腰を下ろした。そうすれば、ディアドラは「可愛らしいわね」と言って口元を手で隠しながらころころと笑う。