【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
(私も男性が大層苦手ですし、そういう点では私たちぴったりなのね。でも、予想以上だわ)
男性が大層苦手なドロシーと、筋金入りの女性嫌いのルーシャン。なんとぴったりな仮面夫婦だろうか。そう思いながら、ドロシーはダニエルに「……お仕事は、大変じゃない?」なんて問いかけていた。ドロシーは男性が大層苦手ではあるものの、自らの信頼のおけるものは大丈夫。つまり、長年実家に仕えてくれている執事などは苦手な対象に入らない。
「まぁ、大変といえば大変ですかね。ですが、殿下には恩がありますので……。あ、ここで殿下はお待ちです」
ダニエルはドロシーの問いかけにある程度答えた後、一つの豪奢な扉に視線を移した。その扉は木でできた木製の扉ではあるが、どこか豪奢な印象を醸し出すのは、様々な装飾が施されているからだろうか。そう思いながら、ドロシーはダニエルに促され扉を三回ノックする。そうすれば、中から男性のものと思わしき声で「いいぞ」と返ってきた。そのため、ドロシーは「失礼いたします」と声をかけ、その扉に手をかけた。
「初めまして、ルーシャン殿下。私が、ドロシー・ハートフィールドでございます。この度は対面していただき誠にありがとう――」
――ございます。
そう、ドロシーが告げようとして顔を上げたときだった。ルーシャンの顔が、はっきりとドロシーの目に映った。そのとても整った彫刻のような顔立ちに、ドロシーは柄にもなく見惚れてしまう。どこか冷たい印象さえあるものの、それさえも魅力になっているのだからさすがとしか言いようがない。
「……別に、堅苦しい挨拶は必要ない。俺が第二王子のルーシャン・ネイピアだ。……ドロシー嬢、初めまして」
ルーシャンは固まったドロシーに対して、無表情のまま抑揚のない声でそう言ってきた。その瞬間、室内の温度が数度下がったような感覚に、ダニエルだけが襲われていた。
男性が大層苦手なドロシーと、筋金入りの女性嫌いのルーシャン。なんとぴったりな仮面夫婦だろうか。そう思いながら、ドロシーはダニエルに「……お仕事は、大変じゃない?」なんて問いかけていた。ドロシーは男性が大層苦手ではあるものの、自らの信頼のおけるものは大丈夫。つまり、長年実家に仕えてくれている執事などは苦手な対象に入らない。
「まぁ、大変といえば大変ですかね。ですが、殿下には恩がありますので……。あ、ここで殿下はお待ちです」
ダニエルはドロシーの問いかけにある程度答えた後、一つの豪奢な扉に視線を移した。その扉は木でできた木製の扉ではあるが、どこか豪奢な印象を醸し出すのは、様々な装飾が施されているからだろうか。そう思いながら、ドロシーはダニエルに促され扉を三回ノックする。そうすれば、中から男性のものと思わしき声で「いいぞ」と返ってきた。そのため、ドロシーは「失礼いたします」と声をかけ、その扉に手をかけた。
「初めまして、ルーシャン殿下。私が、ドロシー・ハートフィールドでございます。この度は対面していただき誠にありがとう――」
――ございます。
そう、ドロシーが告げようとして顔を上げたときだった。ルーシャンの顔が、はっきりとドロシーの目に映った。そのとても整った彫刻のような顔立ちに、ドロシーは柄にもなく見惚れてしまう。どこか冷たい印象さえあるものの、それさえも魅力になっているのだからさすがとしか言いようがない。
「……別に、堅苦しい挨拶は必要ない。俺が第二王子のルーシャン・ネイピアだ。……ドロシー嬢、初めまして」
ルーシャンは固まったドロシーに対して、無表情のまま抑揚のない声でそう言ってきた。その瞬間、室内の温度が数度下がったような感覚に、ダニエルだけが襲われていた。