【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
「ダニエル。ドロシーさんを送って差し上げなさい」
「かしこまりました。……ドロシー様、行きましょうか」
ダニエルにそう言われてしまえば、もう自分がディアドラに話しかけるのは不敬だろう。そう思い、ドロシーはぺこりと頭を下げる。部屋を出る前にディアドラの「……どうか、無事でいてほしいわ」という声には反応できなかった。
(……私も、無事でいてほしいと思っているわ)
部屋を出てそう思い、目を瞑る。ルーシャンとは円満離縁を目指しているのだ。少なくとも死に別れなんて嫌すぎる。未亡人なんて嫌すぎる。
「……ドロシー様」
そんなことを考えていれば、不意にダニエルに声をかけられる。そのため彼に視線を向ければ、彼は「……王妃様は、どうにもドロシー様のことを気に入ったようですよ」と言って口元を緩めていた。
「……え?」
「まぁ、あの方は境遇が境遇ですので、基本的に優しいです。ですが、ドロシー様へは何処となく気を許しているように思えるのです」
ダニエルはドロシーのことを入り口に案内しながらそう言ってくれる。
ディアドラの境遇はドロシーも小耳にはさんでいる。出身国ではあまりいい扱いを受けていなかったということ。そこを現国王スペンサーに見初められ、誘拐まがいの方法で娶られたということ。それは、このネイピア王国ではある意味伝説として語られているのだ。
「……まぁ、嫁と姑の関係が良いのはルーシャン殿下にとっては楽な案件でしょうね」
「それは、そうだけれど……」
ダニエルの言葉に同意すれば、彼は「……後方支援、頑張ってください」と真剣な声音で告げてきた。……どうやら、彼なりにドロシーの緊張を見抜き、ほぐそうとしてくれたらしい。
(こういうところ、なんていうか不器用なのね……)
関わってきてわかっていたが、ダニエルはかなり不器用な人種だ。それを実感しながら、ドロシーはふっと息を吐いた。
さぁ、これからどう頑張ろうか。
(王妃様に託された以上、きちんと仕事は全うしてみせるわ)
ぐっと手のひらを握りしめ、ドロシーはそう決意をした。
「かしこまりました。……ドロシー様、行きましょうか」
ダニエルにそう言われてしまえば、もう自分がディアドラに話しかけるのは不敬だろう。そう思い、ドロシーはぺこりと頭を下げる。部屋を出る前にディアドラの「……どうか、無事でいてほしいわ」という声には反応できなかった。
(……私も、無事でいてほしいと思っているわ)
部屋を出てそう思い、目を瞑る。ルーシャンとは円満離縁を目指しているのだ。少なくとも死に別れなんて嫌すぎる。未亡人なんて嫌すぎる。
「……ドロシー様」
そんなことを考えていれば、不意にダニエルに声をかけられる。そのため彼に視線を向ければ、彼は「……王妃様は、どうにもドロシー様のことを気に入ったようですよ」と言って口元を緩めていた。
「……え?」
「まぁ、あの方は境遇が境遇ですので、基本的に優しいです。ですが、ドロシー様へは何処となく気を許しているように思えるのです」
ダニエルはドロシーのことを入り口に案内しながらそう言ってくれる。
ディアドラの境遇はドロシーも小耳にはさんでいる。出身国ではあまりいい扱いを受けていなかったということ。そこを現国王スペンサーに見初められ、誘拐まがいの方法で娶られたということ。それは、このネイピア王国ではある意味伝説として語られているのだ。
「……まぁ、嫁と姑の関係が良いのはルーシャン殿下にとっては楽な案件でしょうね」
「それは、そうだけれど……」
ダニエルの言葉に同意すれば、彼は「……後方支援、頑張ってください」と真剣な声音で告げてきた。……どうやら、彼なりにドロシーの緊張を見抜き、ほぐそうとしてくれたらしい。
(こういうところ、なんていうか不器用なのね……)
関わってきてわかっていたが、ダニエルはかなり不器用な人種だ。それを実感しながら、ドロシーはふっと息を吐いた。
さぁ、これからどう頑張ろうか。
(王妃様に託された以上、きちんと仕事は全うしてみせるわ)
ぐっと手のひらを握りしめ、ドロシーはそう決意をした。