【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
50.「ドロシー嬢をここに寝かせておいてやれ。……疲れてるだろ」
★☆★
重たい瞼を開く。真っ先に視界に映ったのは見慣れた天井。
それを見つめ、ルーシャンは一瞬だけ「どうして」と思う。が、すぐに兄であるパーシヴァルを庇って魔物に襲われたのだと思いだした。
(……痛いな)
背中がずきずきと鈍く痛む。それに眉を顰め、思わず舌打ちしそうになった。が、不意に誰かの寝息がルーシャンの耳に入る。だからこそ、そちらに視線を向けた。そこには――ドロシーがいた。
彼女はその目を閉ざしながら、寝息を立てている。ルーシャンの眠る寝台に顔を伏せながら眠っている姿は、大層美しい。
そんな彼女の姿に息を呑めば、不意に彼女の目の下にひどい隈があることに気が付いた。……どうやら、彼女は彼女で何かやっていたらしい。
「……はぁ」
こんなのは自分じゃない。そう思いながらも、ルーシャンは自身にかけられていた毛布の一枚を手に取り、ドロシーの身体にかけてやる。窓にはカーテンがかかっており、今が何時なのかは見当もつかない。しかし、夜であることに間違いはなさそうだ。カーテンの隙間から見える外は、真っ暗である。
「こんな時間に呼んだら迷惑か」
そう思い、侍従を呼ぶベルに手を伸ばしたもののすぐに引っ込めようとする。だが、これを呼んで駆けつけるのは決まってダニエルである。彼ならば駆けつけることに苦悩はないだろう。そう思いなおし、容赦なくベルを鳴らした。
それからしばらくして、慌ただしく部屋の扉が開く。そちらに視線を向ければ、そこには息を切らしたダニエルがいた。彼は「で、殿下……!」と言いながら何処となくほっとしたような表情を浮かべる。
「心配かけたな。……ま、俺はそう簡単に死ないからな」
自虐を含んでそう言えば、ダニエルは「そういえば、そうですね」と肯定してくる。……この従者はあまりルーシャンに遠慮がない。最近それに拍車がかかっているように思える。……多分、ドロシーと出逢ったからだろう。
重たい瞼を開く。真っ先に視界に映ったのは見慣れた天井。
それを見つめ、ルーシャンは一瞬だけ「どうして」と思う。が、すぐに兄であるパーシヴァルを庇って魔物に襲われたのだと思いだした。
(……痛いな)
背中がずきずきと鈍く痛む。それに眉を顰め、思わず舌打ちしそうになった。が、不意に誰かの寝息がルーシャンの耳に入る。だからこそ、そちらに視線を向けた。そこには――ドロシーがいた。
彼女はその目を閉ざしながら、寝息を立てている。ルーシャンの眠る寝台に顔を伏せながら眠っている姿は、大層美しい。
そんな彼女の姿に息を呑めば、不意に彼女の目の下にひどい隈があることに気が付いた。……どうやら、彼女は彼女で何かやっていたらしい。
「……はぁ」
こんなのは自分じゃない。そう思いながらも、ルーシャンは自身にかけられていた毛布の一枚を手に取り、ドロシーの身体にかけてやる。窓にはカーテンがかかっており、今が何時なのかは見当もつかない。しかし、夜であることに間違いはなさそうだ。カーテンの隙間から見える外は、真っ暗である。
「こんな時間に呼んだら迷惑か」
そう思い、侍従を呼ぶベルに手を伸ばしたもののすぐに引っ込めようとする。だが、これを呼んで駆けつけるのは決まってダニエルである。彼ならば駆けつけることに苦悩はないだろう。そう思いなおし、容赦なくベルを鳴らした。
それからしばらくして、慌ただしく部屋の扉が開く。そちらに視線を向ければ、そこには息を切らしたダニエルがいた。彼は「で、殿下……!」と言いながら何処となくほっとしたような表情を浮かべる。
「心配かけたな。……ま、俺はそう簡単に死ないからな」
自虐を含んでそう言えば、ダニエルは「そういえば、そうですね」と肯定してくる。……この従者はあまりルーシャンに遠慮がない。最近それに拍車がかかっているように思える。……多分、ドロシーと出逢ったからだろう。