【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
「い、いや、円満離縁とは……その」
ダニエルは、驚きすぎて二人の間に口を挟んでしまう。しかし、しばらくしてルーシャンに首を横に振られてしまう。どうやら、口出しするなと言いたいようだ。
「円満離縁か、いいよ。ただ……結婚生活をしないのも、問題だと思うんだよ、俺は」
「さようでございますね」
「だから、俺はドロシー嬢と週に一度だけ会うことにする。それで、結婚生活にならないか?」
いや、ならないだろう!
そんなダニエルの内心でのツッコミなど全く知らないドロシーは、手をパンっと叩いて嬉しそうな表情を浮かべ、
「まぁ、別居婚でございますね!」
などというのだから、ダニエルはずっこけそうだった。そして、ようやく「この二人、結構おかしいのでは?」と思うことが出来たのだ。普通の令嬢ならば「別居婚をしましょう」などと言われれば怒り狂い暴れだすだろう。それが、ダニエルの考える貴族の令嬢だった。なのに、ドロシーは怒り出さないどころか何故か喜んでいる。……本当に、意味が分からなかった。
「では、これからは『円満離縁前提の別居婚生活』でございますね。私、嬉しゅうございます」
……いや、なんだそれは。そんなダニエルの想いは、生憎二人には全く伝わっていない。ドロシーとルーシャンは、互いを探るような笑みを浮かべ見つめ合っているだけだ。美形の考えることは、本当にわからない。
「では、私は本日にはこれにて失礼いたします。あ、でも最後にもう一つだけ、よろしいでしょうか?」
ドロシーは不意に人差し指を立てて、そんなことを言う。その表情はとても美しく、ダニエルは思わず見惚れてしまう。……ルーシャンは、なんとも思っていないようだが。
「あのですね、私、ルーシャン殿下にお会い出来たら一言言ってやろうと思っておりましたの」
――自分勝手なのも、いい加減になさってくださいませ! って。
そう言ったドロシーの表情は、清々しいとでも言いたげな笑顔だった――……。
ダニエルは、驚きすぎて二人の間に口を挟んでしまう。しかし、しばらくしてルーシャンに首を横に振られてしまう。どうやら、口出しするなと言いたいようだ。
「円満離縁か、いいよ。ただ……結婚生活をしないのも、問題だと思うんだよ、俺は」
「さようでございますね」
「だから、俺はドロシー嬢と週に一度だけ会うことにする。それで、結婚生活にならないか?」
いや、ならないだろう!
そんなダニエルの内心でのツッコミなど全く知らないドロシーは、手をパンっと叩いて嬉しそうな表情を浮かべ、
「まぁ、別居婚でございますね!」
などというのだから、ダニエルはずっこけそうだった。そして、ようやく「この二人、結構おかしいのでは?」と思うことが出来たのだ。普通の令嬢ならば「別居婚をしましょう」などと言われれば怒り狂い暴れだすだろう。それが、ダニエルの考える貴族の令嬢だった。なのに、ドロシーは怒り出さないどころか何故か喜んでいる。……本当に、意味が分からなかった。
「では、これからは『円満離縁前提の別居婚生活』でございますね。私、嬉しゅうございます」
……いや、なんだそれは。そんなダニエルの想いは、生憎二人には全く伝わっていない。ドロシーとルーシャンは、互いを探るような笑みを浮かべ見つめ合っているだけだ。美形の考えることは、本当にわからない。
「では、私は本日にはこれにて失礼いたします。あ、でも最後にもう一つだけ、よろしいでしょうか?」
ドロシーは不意に人差し指を立てて、そんなことを言う。その表情はとても美しく、ダニエルは思わず見惚れてしまう。……ルーシャンは、なんとも思っていないようだが。
「あのですね、私、ルーシャン殿下にお会い出来たら一言言ってやろうと思っておりましたの」
――自分勝手なのも、いい加減になさってくださいませ! って。
そう言ったドロシーの表情は、清々しいとでも言いたげな笑顔だった――……。