【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
彼は生粋の女性嫌いのはずだ。女性にあまり触れたくないはず。なのに、今あっさりとドロシーに触れた。……それが、どうしようもない感覚だった。
そもそも、ドロシーだって覚悟が決まっていなかった。男性に触れられるのは、嫌なのに。
「る、ルーシャン殿下!」
「……どうした」
「ルーシャン殿下は、女性がお嫌いでしたよね?」
ゆっくりとそう問いかける。もしかしたら、死にかけて心境に変化があったのかも……と思わないこともない。が、そんなもの滅多なことであるわけがないだろう。そう思うからこそその考えをねじ伏せれば、彼は「……あぁ」と端的な返事をくれる。
「今だって部屋にいれたくないし、触れたくもない」
「……で、でしたらっ!」
「でも、ドロシー嬢だけは違うみたいだな、どうやら」
ドロシーの抗議をものともせず、ルーシャンは挑発的に笑ってそう告げる。その笑みがやたらと色っぽくて魅力的で。ドロシーの胸が、また高鳴った……ような気が、した。
(それは、私だけ特別ということ……?)
それに、ルーシャンの言葉は言葉の意味を素直に受け取ればそういう意味にも聞こえてしまう。そのためさらに顔を赤くしていれば、彼は「……こんなにも必死になってくれる奴を、好きになるなっていう方が無理だ」と呟く。が、その言葉は幸か不幸かドロシーの耳には届いていない。
「……なぁ、ドロシー嬢」
何でもない風にそう話しかけられ、ドロシーは「な、なんですか?」と恐る恐る声を発する。それが何処となく面白かったのだろうか。彼はけらけらと笑いだす。
何だろうか。そういうところはやはり無性に――腹が立つ。
「笑わなくてもよくないですか⁉」
身体にかかっていた毛布を引き上げ、顔を隠しながらそう言えば彼は「面白いものは面白い。笑って何が悪い」と開き直ってくる。……やっぱり、腹が立つ。
(この男はやっぱりひねくれ王子だわ!)
内心でそう思いながら、ドロシーは「帰ります!」と言って寝台を降りる。
そもそも、ドロシーだって覚悟が決まっていなかった。男性に触れられるのは、嫌なのに。
「る、ルーシャン殿下!」
「……どうした」
「ルーシャン殿下は、女性がお嫌いでしたよね?」
ゆっくりとそう問いかける。もしかしたら、死にかけて心境に変化があったのかも……と思わないこともない。が、そんなもの滅多なことであるわけがないだろう。そう思うからこそその考えをねじ伏せれば、彼は「……あぁ」と端的な返事をくれる。
「今だって部屋にいれたくないし、触れたくもない」
「……で、でしたらっ!」
「でも、ドロシー嬢だけは違うみたいだな、どうやら」
ドロシーの抗議をものともせず、ルーシャンは挑発的に笑ってそう告げる。その笑みがやたらと色っぽくて魅力的で。ドロシーの胸が、また高鳴った……ような気が、した。
(それは、私だけ特別ということ……?)
それに、ルーシャンの言葉は言葉の意味を素直に受け取ればそういう意味にも聞こえてしまう。そのためさらに顔を赤くしていれば、彼は「……こんなにも必死になってくれる奴を、好きになるなっていう方が無理だ」と呟く。が、その言葉は幸か不幸かドロシーの耳には届いていない。
「……なぁ、ドロシー嬢」
何でもない風にそう話しかけられ、ドロシーは「な、なんですか?」と恐る恐る声を発する。それが何処となく面白かったのだろうか。彼はけらけらと笑いだす。
何だろうか。そういうところはやはり無性に――腹が立つ。
「笑わなくてもよくないですか⁉」
身体にかかっていた毛布を引き上げ、顔を隠しながらそう言えば彼は「面白いものは面白い。笑って何が悪い」と開き直ってくる。……やっぱり、腹が立つ。
(この男はやっぱりひねくれ王子だわ!)
内心でそう思いながら、ドロシーは「帰ります!」と言って寝台を降りる。