【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
「それにしても、こんなにも着飾る必要はあるのかしら? もうちょっと地味でも……」
「いえ、お嬢様。せっかくルーシャン殿下にお会いするのですから、お嬢様のお美しさを思い知らせてやらなければ、私の気が済みません!」
「……そう」
リリーの熱弁に、ドロシーは適当に返事をする。ドロシーの容姿は絶世の美貌だが、本人はいまいち自らの容姿に興味がない。ドロシーのおしゃれのモットー。それは、「無理のない程度に」である。つまり、髪の毛をゴテゴテに巻いたり、コルセットをぎゅうぎゅうに締め付けたりするのはそのモットーに反する。そもそも、元よりドロシーはそのままでも素晴らしい体型なのだ。
「さて、リリー。婚姻から三か月経っているけれど、結婚生活一日目に挑みましょうか!」
「……矛盾していますよね、そのお言葉」
婚姻から三か月経っているのに、結婚生活一日目とはなんと矛盾した言葉だろうか。そう思いながら、リリーは自室を出て「行くわよ」ともう一度声をかけてくるドロシーに続いた。ドロシーの歩き方はとても美しく、いつも見慣れている使用人でさえ感嘆のため息を零すくらいだ。
幼少期は「ハートフィールド侯爵家の天使」とたたえられ、成長すれば「ハートフィールド侯爵家の女神」と称されるその容姿と仕草は、数多くの人間を、特に男性を魅了してきた。まぁ、その所為でドロシー自身はすっかり男性が苦手になってしまったのだが。
「さて、何を話せばいいのかしらねぇ。話題を探すのに、疲れちゃいそう」
「さようでございますね」
馬車に乗り込み、ドロシーは「はぁ」とため息をついてそんなことをぼやく。初対面に近い男性と、どう会話をすればいいかがドロシーには分からなかった。今まで、男性を遠ざけてきた。そのつけが、今更になって回ってきたのだろうか。そんなことを思いながら、ドロシーはリリーに「どうすればいいと思う?」なんて問いかけた。リリーに答えを求めても、意味などあまりないということくらいドロシーだって知っている。しかし、リリーの方がまだ男性との会話に慣れているはずだ。そう、ドロシーは判断した。
「いえ、お嬢様。せっかくルーシャン殿下にお会いするのですから、お嬢様のお美しさを思い知らせてやらなければ、私の気が済みません!」
「……そう」
リリーの熱弁に、ドロシーは適当に返事をする。ドロシーの容姿は絶世の美貌だが、本人はいまいち自らの容姿に興味がない。ドロシーのおしゃれのモットー。それは、「無理のない程度に」である。つまり、髪の毛をゴテゴテに巻いたり、コルセットをぎゅうぎゅうに締め付けたりするのはそのモットーに反する。そもそも、元よりドロシーはそのままでも素晴らしい体型なのだ。
「さて、リリー。婚姻から三か月経っているけれど、結婚生活一日目に挑みましょうか!」
「……矛盾していますよね、そのお言葉」
婚姻から三か月経っているのに、結婚生活一日目とはなんと矛盾した言葉だろうか。そう思いながら、リリーは自室を出て「行くわよ」ともう一度声をかけてくるドロシーに続いた。ドロシーの歩き方はとても美しく、いつも見慣れている使用人でさえ感嘆のため息を零すくらいだ。
幼少期は「ハートフィールド侯爵家の天使」とたたえられ、成長すれば「ハートフィールド侯爵家の女神」と称されるその容姿と仕草は、数多くの人間を、特に男性を魅了してきた。まぁ、その所為でドロシー自身はすっかり男性が苦手になってしまったのだが。
「さて、何を話せばいいのかしらねぇ。話題を探すのに、疲れちゃいそう」
「さようでございますね」
馬車に乗り込み、ドロシーは「はぁ」とため息をついてそんなことをぼやく。初対面に近い男性と、どう会話をすればいいかがドロシーには分からなかった。今まで、男性を遠ざけてきた。そのつけが、今更になって回ってきたのだろうか。そんなことを思いながら、ドロシーはリリーに「どうすればいいと思う?」なんて問いかけた。リリーに答えを求めても、意味などあまりないということくらいドロシーだって知っている。しかし、リリーの方がまだ男性との会話に慣れているはずだ。そう、ドロシーは判断した。