【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
9.「この間も言ったが、堅苦しい挨拶は必要ない。なんといっても、俺とドロシー嬢は夫婦だからね」
「ルーシャン殿下。本日はお会いしていただき、誠に――」
「この間も言ったが、堅苦しい挨拶は必要ない。なんと言っても、俺とドロシー嬢は夫婦だからね」
「……さようで、ございますね」
この間と同じようにダニエルに案内してもらい、この間と同じ部屋でドロシーはルーシャンと対面していた。ルーシャンの服装はとてもラフなものであり、着飾っているドロシーと並べば普通ならば見劣りしてしまうかもしれない。が、それでもしっかりと並べるのだから素晴らしい顔立ちである。そう思いながら、ルーシャンと初めて対面するリリーはルーシャンの予想以上の美貌に驚いていた。
(こ、このお方が美貌のひねくれ王子様……!)
心の中でそう唱えながら、リリーはダニエルに促されてお茶を淹れに向かう。ドロシーは妬ましい視線でリリーを見つめてくるものの、静かに一礼をしてドロシーの視線から逃れる。侍従は主の意見を尊重して動くのが仕事だが、それでも出来ないときは出来ない。ドロシーだって、それくらい分かっているはずなのだ。
「えっと……」
「あ、ドロシーお嬢様の専属侍女を務めております。リリーと申します」
「リリー、か。俺はダニエル。ルーシャン殿下の専属従者だ」
ダニエルの自己紹介を聞き、リリーはまた静かに一礼をした。ダニエルは王城の従者。侯爵家の侍女であるリリーよりも身分は上にあたる。ましてや、ダニエルは王子の専属従者という名誉な役割を持っているのだ。たかが侍女の自分では、勝ち目のない存在。
「この間も言ったが、堅苦しい挨拶は必要ない。なんと言っても、俺とドロシー嬢は夫婦だからね」
「……さようで、ございますね」
この間と同じようにダニエルに案内してもらい、この間と同じ部屋でドロシーはルーシャンと対面していた。ルーシャンの服装はとてもラフなものであり、着飾っているドロシーと並べば普通ならば見劣りしてしまうかもしれない。が、それでもしっかりと並べるのだから素晴らしい顔立ちである。そう思いながら、ルーシャンと初めて対面するリリーはルーシャンの予想以上の美貌に驚いていた。
(こ、このお方が美貌のひねくれ王子様……!)
心の中でそう唱えながら、リリーはダニエルに促されてお茶を淹れに向かう。ドロシーは妬ましい視線でリリーを見つめてくるものの、静かに一礼をしてドロシーの視線から逃れる。侍従は主の意見を尊重して動くのが仕事だが、それでも出来ないときは出来ない。ドロシーだって、それくらい分かっているはずなのだ。
「えっと……」
「あ、ドロシーお嬢様の専属侍女を務めております。リリーと申します」
「リリー、か。俺はダニエル。ルーシャン殿下の専属従者だ」
ダニエルの自己紹介を聞き、リリーはまた静かに一礼をした。ダニエルは王城の従者。侯爵家の侍女であるリリーよりも身分は上にあたる。ましてや、ダニエルは王子の専属従者という名誉な役割を持っているのだ。たかが侍女の自分では、勝ち目のない存在。