【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
10.「……バカにするのならば、してくださって構いません。ですが、これは私の生きがいなのです」
「ドロシー嬢。何か、面白いことを話してくれない?」
「無茶をおっしゃらないでくださいませ。私だって、来たくて来ているのではありませんから」
ドロシーがルーシャンの元を訪れて一時間と三十分後。二人はすっかり話すことがなくなっていた。互いの好きなもの嫌いなものを話そうにも、会話はいまいち弾まない。ただひたすら和菓子を食べ、お茶を飲み続ける音だけが聞こえてくる空間にて、完全にドロシーは帰りたくなっていた。
しかし、帰るにもまだ少し時間が早い。だからこそ、ポーションのことでも考えておこう。そう思い、ドロシーは無礼を承知の上で鞄からノートを取り出し、数ページ捲った。
「……ドロシー嬢?」
「いえ、会話が弾まないのならば時間の無駄かと思いまして。……失礼を承知の上でお仕事でもさせていただこうかと」
リリーはルーシャンにポーションのことや調合のことを話してみてはどうか、と言ってくれていたが、やはりドロシーにはそれを話す勇気がなかった。そのため、ルーシャンはドロシーが実はポーションを作り商売をしているということを、知らない。
「ドロシー嬢は、仕事をしているの?」
「えぇ、まぁ」
ルーシャンの問いかけに、ドロシーは静かにそう返す。どうせ、ルーシャンだってドロシーの商売には興味がないだろう。そう、ドロシーは決めつけていた。男性、特に高位貴族の生まれの人間は女性が仕事をすることを嫌う傾向がある。それを、ドロシーは今までの経験上よく知っていた。そのため、ルーシャンに適当に言葉を返したのだ。どうせ、興味もないだろうしと、ドロシーは思っていた。
「無茶をおっしゃらないでくださいませ。私だって、来たくて来ているのではありませんから」
ドロシーがルーシャンの元を訪れて一時間と三十分後。二人はすっかり話すことがなくなっていた。互いの好きなもの嫌いなものを話そうにも、会話はいまいち弾まない。ただひたすら和菓子を食べ、お茶を飲み続ける音だけが聞こえてくる空間にて、完全にドロシーは帰りたくなっていた。
しかし、帰るにもまだ少し時間が早い。だからこそ、ポーションのことでも考えておこう。そう思い、ドロシーは無礼を承知の上で鞄からノートを取り出し、数ページ捲った。
「……ドロシー嬢?」
「いえ、会話が弾まないのならば時間の無駄かと思いまして。……失礼を承知の上でお仕事でもさせていただこうかと」
リリーはルーシャンにポーションのことや調合のことを話してみてはどうか、と言ってくれていたが、やはりドロシーにはそれを話す勇気がなかった。そのため、ルーシャンはドロシーが実はポーションを作り商売をしているということを、知らない。
「ドロシー嬢は、仕事をしているの?」
「えぇ、まぁ」
ルーシャンの問いかけに、ドロシーは静かにそう返す。どうせ、ルーシャンだってドロシーの商売には興味がないだろう。そう、ドロシーは決めつけていた。男性、特に高位貴族の生まれの人間は女性が仕事をすることを嫌う傾向がある。それを、ドロシーは今までの経験上よく知っていた。そのため、ルーシャンに適当に言葉を返したのだ。どうせ、興味もないだろうしと、ドロシーは思っていた。