【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
11.「あら、私は楽しみではありませんわ。ごきげんよう」
「――なので、この薬草とこの薬草を組み合わせ、この魔法をかければ効果の高いポーションが出来上がるのです」
「へぇ、興味深い」

 それから約三時間後。ルーシャンはすっかりドロシーの趣味である調合に興味を持っていた。それは、ドロシーの話術が上手く、人の興味を引くのが上手かったということもあるのだろうが、一番はルーシャンが少しだけ調合などに興味があったからだろう。ルーシャンは昔から剣術を習っていた。そのため、傷薬やポーションに触れる機会は多かった。だから尚更――興味を、引かれた。

「ルーシャン殿下は、不思議なお方ですね。私なんかのお話に興味を持たれるなんて」

 そして、ドロシーはふとそんなことを口走ってしまった。普通、薬草やポーションの類に興味を持つ王子はなかなかいないだろう。ましてや、相手はひねくれ王子なのだ。まさか、自分の趣味に興味を持つとは思わなかった。

「いや、俺も結構不思議に思っているよ。まさか、俺がポーションやら傷薬に、こんなにも惹かれるなんて」

 ドロシーのつぶやきに対して、ルーシャンは苦笑を浮かべながらそんな言葉を返した。ルーシャン自身も、不思議だった。今までポーションや傷薬の類に興味がほんの少しはあったものの、ここまで深く知ろうとは思わなかった。
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