【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
12.「……考えておきますわ」
「あら、あの馬車は……」
ドロシーがルーシャンと別れてから約一時間後。ハートフィールド侯爵家の屋敷が見えてきたとき、ドロシーは不意にそんな声を上げた。何故ならば、侯爵家の敷地内に侯爵家のものではない馬車が止まっていたためだ。その馬車はとても煌びやかなものであり、一目で貴族の所有物だと分かるだろう。そして、馬車に描かれている家紋を見たとき……ドロシーの口元が緩んだ。
「ジュリアナ様じゃない」
その名前を口に出せば、ドロシーの気持ちが軽くなる。その馬車の持ち主。その人物は――ドロシーの唯一とも言っていい友人、ジュリアナ・フォード。その令嬢だったからだ。
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ドロシーがルーシャンと別れてから約一時間後。ハートフィールド侯爵家の屋敷が見えてきたとき、ドロシーは不意にそんな声を上げた。何故ならば、侯爵家の敷地内に侯爵家のものではない馬車が止まっていたためだ。その馬車はとても煌びやかなものであり、一目で貴族の所有物だと分かるだろう。そして、馬車に描かれている家紋を見たとき……ドロシーの口元が緩んだ。
「ジュリアナ様じゃない」
その名前を口に出せば、ドロシーの気持ちが軽くなる。その馬車の持ち主。その人物は――ドロシーの唯一とも言っていい友人、ジュリアナ・フォード。その令嬢だったからだ。
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