【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
「えっと、失礼かもしれませんが、挙式は……?」
「あぁ、挙式は行っておりませんの」
「……え?」
ドロシーのあっさりとしたその答えに、ジュリアナの方が戸惑ってしまう。王族貴族の結婚に挙式はつきものだ。挙式を行わないところもあるが、それは実家が貧乏だとかそう言う理由が主。王族と名門侯爵家の結婚で挙式を行わない理由が、ジュリアナには想像がつかなかった。
「まぁ、理由が少々ありまして。またいずれ、お話させていただきますわ」
「そ、そう、ですか……」
だが、こう言われてしまえば問い詰める気などなくなってしまう。そのため、ジュリアナはゆっくりともう一度紅茶の入ったカップを口に運んだ。
「夫婦になっても、今は別居中なのです。まぁ、あちらは大層な人間嫌いですし、私もよく知らない男性の方と同居しなくていいので、助かっているのですが」
「……そう、ですの」
いや、新婚から別居でどうする。ジュリアナは一瞬そう思ったものの、ジュリアナの一番はドロシー自身の幸せである。彼女本人が幸せなのならば、自分が口を出すことはない。そう思い、口を閉ざした。そして、話題を変えることにした。
「そ、そう言えば。今度フォード伯爵家の王都にある別邸で、パーティーを開きますの。ドロシー様もよかったら参加してくださいませんか?」
「……パーティー?」
「えぇ、私のお父様の誕生日パーティーです」
そう言ったジュリアナは、一通の招待状をドロシーに見せてくる。その後、ドロシーに手渡してくれた。中には確かに「フォード伯爵の誕生日パーティー」と書いてあり、ジュリアナの言葉は本当のようだ。まぁ、元より疑ってなどいないのだが。
「ジュリアナ様、私があまり社交界を好いていないこと、貴女はよく知っていらっしゃるじゃない」
「ですが……お父様が、いつも私と親しくしてくださっているドロシー様にお礼を告げたい、と言っておりまして……」
ドロシーは社交界を嫌っている。それは、ジュリアナだって知っていた。だが、たまには自分の友人として参加してくれてもいいのではないだろうか。そう思い、ジュリアナがしょぼくれていると不意にドロシーが「はぁ」とため息をつく。もしかしたら、呆れられたかもしれない。そんなことをジュリアナは思ってしまうが、ドロシーは「……分かりましたわ」という返事をくれた。
「分かりましたは。今回だけは、参加します。ですが、すぐに帰ります」
「まぁ、ありがとうございます! あと、出来ればルーシャン殿下と一緒に参加していただけると幸いですわ!」
「……考えておきますわ」
ジュリアナの言葉に押され、そう返したもののドロシーは思う。
――あのひねくれ王子が素直に誘いに乗るわけがないだろう、と。
(ま、言うだけ言ってみましょうか。どうせ、断られるでしょうが)
心の中でそうぼやいて、ドロシーは新しい話題に話を移した。
「あぁ、挙式は行っておりませんの」
「……え?」
ドロシーのあっさりとしたその答えに、ジュリアナの方が戸惑ってしまう。王族貴族の結婚に挙式はつきものだ。挙式を行わないところもあるが、それは実家が貧乏だとかそう言う理由が主。王族と名門侯爵家の結婚で挙式を行わない理由が、ジュリアナには想像がつかなかった。
「まぁ、理由が少々ありまして。またいずれ、お話させていただきますわ」
「そ、そう、ですか……」
だが、こう言われてしまえば問い詰める気などなくなってしまう。そのため、ジュリアナはゆっくりともう一度紅茶の入ったカップを口に運んだ。
「夫婦になっても、今は別居中なのです。まぁ、あちらは大層な人間嫌いですし、私もよく知らない男性の方と同居しなくていいので、助かっているのですが」
「……そう、ですの」
いや、新婚から別居でどうする。ジュリアナは一瞬そう思ったものの、ジュリアナの一番はドロシー自身の幸せである。彼女本人が幸せなのならば、自分が口を出すことはない。そう思い、口を閉ざした。そして、話題を変えることにした。
「そ、そう言えば。今度フォード伯爵家の王都にある別邸で、パーティーを開きますの。ドロシー様もよかったら参加してくださいませんか?」
「……パーティー?」
「えぇ、私のお父様の誕生日パーティーです」
そう言ったジュリアナは、一通の招待状をドロシーに見せてくる。その後、ドロシーに手渡してくれた。中には確かに「フォード伯爵の誕生日パーティー」と書いてあり、ジュリアナの言葉は本当のようだ。まぁ、元より疑ってなどいないのだが。
「ジュリアナ様、私があまり社交界を好いていないこと、貴女はよく知っていらっしゃるじゃない」
「ですが……お父様が、いつも私と親しくしてくださっているドロシー様にお礼を告げたい、と言っておりまして……」
ドロシーは社交界を嫌っている。それは、ジュリアナだって知っていた。だが、たまには自分の友人として参加してくれてもいいのではないだろうか。そう思い、ジュリアナがしょぼくれていると不意にドロシーが「はぁ」とため息をつく。もしかしたら、呆れられたかもしれない。そんなことをジュリアナは思ってしまうが、ドロシーは「……分かりましたわ」という返事をくれた。
「分かりましたは。今回だけは、参加します。ですが、すぐに帰ります」
「まぁ、ありがとうございます! あと、出来ればルーシャン殿下と一緒に参加していただけると幸いですわ!」
「……考えておきますわ」
ジュリアナの言葉に押され、そう返したもののドロシーは思う。
――あのひねくれ王子が素直に誘いに乗るわけがないだろう、と。
(ま、言うだけ言ってみましょうか。どうせ、断られるでしょうが)
心の中でそうぼやいて、ドロシーは新しい話題に話を移した。