【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
13.「あら、変人上等よ。私、自分の興味のあることはとことん追求する性質だもの」
また翌週。ルーシャンがドロシーの実家であるハートフィールド侯爵家を訪れる日。
その日、侯爵家は朝からパニック状態だった。なんといっても、この国の王子が屋敷を訪れるのである。いくら令嬢であるドロシーの夫とは言え、王子は王子。それ相応に歓迎しなくてはならない。そう思い、数日前から使用人たちは右に左に、上に下に大奔走していた。それを冷たい視線で見つめながら、ドロシーは自身の調合部屋を片付けていく。
「ねぇ、ルーシャン殿下を出迎えるのに、そんなに片付ける必要ってあるのかしら?」
「当り前ではありませんか。なんといっても、王子殿下ですもの」
「王子殿下だとしても、今は一応私の夫よ」
当初、ルーシャンは婚姻後すぐにこのハートフィールド侯爵家に婿入りする予定だった。しかし、諸事情によりもうしばらく王家に籍を残すことになったのだ。その諸事情をドロシーは詳しくは知らない。なんといっても、両親が「ドロシーは気にしなくてもいいんだよ」と言って教えてくれなかったからである。
「元々はこの家の跡取りになるお方だったのよ。適当に歓迎すればいいじゃない」
「そう言うわけにはいきません」
リリーはそう言って、調合部屋に豪華な花を飾る。普段、この調合部屋は質素で殺風景な空間である。しかし、ルーシャンが来るとなった途端あれを片付け、これを片付けとしているのだ。挙句の果てには花を飾り、調合部屋自体を飾る始末。ドロシーはこう見えて結構面倒くさがりだ。手の届く範囲に、大体のものは置いておきたい性格だった。
その日、侯爵家は朝からパニック状態だった。なんといっても、この国の王子が屋敷を訪れるのである。いくら令嬢であるドロシーの夫とは言え、王子は王子。それ相応に歓迎しなくてはならない。そう思い、数日前から使用人たちは右に左に、上に下に大奔走していた。それを冷たい視線で見つめながら、ドロシーは自身の調合部屋を片付けていく。
「ねぇ、ルーシャン殿下を出迎えるのに、そんなに片付ける必要ってあるのかしら?」
「当り前ではありませんか。なんといっても、王子殿下ですもの」
「王子殿下だとしても、今は一応私の夫よ」
当初、ルーシャンは婚姻後すぐにこのハートフィールド侯爵家に婿入りする予定だった。しかし、諸事情によりもうしばらく王家に籍を残すことになったのだ。その諸事情をドロシーは詳しくは知らない。なんといっても、両親が「ドロシーは気にしなくてもいいんだよ」と言って教えてくれなかったからである。
「元々はこの家の跡取りになるお方だったのよ。適当に歓迎すればいいじゃない」
「そう言うわけにはいきません」
リリーはそう言って、調合部屋に豪華な花を飾る。普段、この調合部屋は質素で殺風景な空間である。しかし、ルーシャンが来るとなった途端あれを片付け、これを片付けとしているのだ。挙句の果てには花を飾り、調合部屋自体を飾る始末。ドロシーはこう見えて結構面倒くさがりだ。手の届く範囲に、大体のものは置いておきたい性格だった。