【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
18.「そうそう。もっと俺に感謝してくれてもいいんだよ?」
☆★☆
「ふぅ、疲れた」
馬車に揺られながら、ルーシャンはそう零す。今はハートフィールド侯爵家の屋敷から王城に帰るまでの道。目深にかぶっていたフードを取り、ルーシャンは目の前に座るダニエルを見据えた。ダニエルは相変わらず疲れたような表情を浮かべているが、その原因を自分自身だと分かっているので、ルーシャンは何も言わない。言えば、お小言が飛んでくるのだ。さながら姑のようだなと思いながらも、ルーシャンはダニエルの忠誠心や自分を想ってくれる気持ちを好意的に受け止めていた。
「殿下。お言葉ですが、今回のことは完全に殿下のわがままではありませんか。ドロシー様だって、戸惑っていらっしゃいました」
「そうだけれどさぁ……夫婦なんだし、これくらい当然でしょ?」
「仮面夫婦以下の、お飾りの夫婦ではありませんか」
ダニエルのそんな言葉に、ルーシャンは「言うね」なんて言いながら窓の外に視線を移す。王城から侯爵家までの道のりは比較的整備されており、馬車が大きく揺れることはほぼない。だからこそ、ゆっくりと出来る。そう思いながら、ルーシャンは「衣装を仕立てなくちゃダメだな」なんて零す。衣装とは、もちろんフォード伯爵の誕生日パーティーに参加するためのものだ。
「父上に頼めば、衣装代くらいくれるかな?」
「適当にくださるかと思いますよ」
ルーシャンの言葉に、ダニエルは適当に返す。ルーシャンの父であるスペンサーは賢王と名高いが、私生活はかなり適当である。さらに言えば、妻である王妃ディアドラに完全に尻に敷かれている。そのため、王家のお金を管理しているのはルーシャンの母であるディアドラだ。それに、ディアドラ自身贅沢を好まないため何の問題もない。
「ですが、王妃様にお願いした方が確実かと」
「だよね」
きっと、母ならばルーシャンが社交界に復帰すると聞いた時点で喜ぶだろう。なんだかんだ言っても、子離れできていないのだ。ルーシャンのことを最も心配しているのも、母だった。
「ふぅ、疲れた」
馬車に揺られながら、ルーシャンはそう零す。今はハートフィールド侯爵家の屋敷から王城に帰るまでの道。目深にかぶっていたフードを取り、ルーシャンは目の前に座るダニエルを見据えた。ダニエルは相変わらず疲れたような表情を浮かべているが、その原因を自分自身だと分かっているので、ルーシャンは何も言わない。言えば、お小言が飛んでくるのだ。さながら姑のようだなと思いながらも、ルーシャンはダニエルの忠誠心や自分を想ってくれる気持ちを好意的に受け止めていた。
「殿下。お言葉ですが、今回のことは完全に殿下のわがままではありませんか。ドロシー様だって、戸惑っていらっしゃいました」
「そうだけれどさぁ……夫婦なんだし、これくらい当然でしょ?」
「仮面夫婦以下の、お飾りの夫婦ではありませんか」
ダニエルのそんな言葉に、ルーシャンは「言うね」なんて言いながら窓の外に視線を移す。王城から侯爵家までの道のりは比較的整備されており、馬車が大きく揺れることはほぼない。だからこそ、ゆっくりと出来る。そう思いながら、ルーシャンは「衣装を仕立てなくちゃダメだな」なんて零す。衣装とは、もちろんフォード伯爵の誕生日パーティーに参加するためのものだ。
「父上に頼めば、衣装代くらいくれるかな?」
「適当にくださるかと思いますよ」
ルーシャンの言葉に、ダニエルは適当に返す。ルーシャンの父であるスペンサーは賢王と名高いが、私生活はかなり適当である。さらに言えば、妻である王妃ディアドラに完全に尻に敷かれている。そのため、王家のお金を管理しているのはルーシャンの母であるディアドラだ。それに、ディアドラ自身贅沢を好まないため何の問題もない。
「ですが、王妃様にお願いした方が確実かと」
「だよね」
きっと、母ならばルーシャンが社交界に復帰すると聞いた時点で喜ぶだろう。なんだかんだ言っても、子離れできていないのだ。ルーシャンのことを最も心配しているのも、母だった。