【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
「……ですが」
「ジュリアナ様。私は、今の生活に満足しているの。なので……ジュリアナ様のお気持ちは嬉しいけれど、貴女が文句をおっしゃるのは筋違いなの」

 ドロシーは、今の生活に満足している。たとえ、一週間に一度しか会わないような夫婦関係だったとしても、文句はないのだ。むしろ、今の生活が心地いい。なんと言っても、清々しているのだから。

「分かりました。ドロシー様がそうおっしゃるのならば、そういうことにします」

 ドロシーの言葉を聞いて、ジュリアナはそう言葉を発するものの、その表情は何処か不満そうだった。でも、分かってくれただけ良いだろう。そう思い直し、ドロシーは「さぁ、飲み物でも取りに行きましょうか」とジュリアナに声をかける。正直、少し喉が渇いた。そう、考えていた。

 飲み物を取るためにドロシーが移動をしようとすれば、ドロシーの前に道が出来ていた。大方、皆がドロシーの美貌に怯み道を開けてくれたのだろう。遠くに見えるルーシャンも、どうやら同じような状態に見える。

(……道を開けてくれるのは嬉しいけれど、目立つのは嫌だわ)

 心の中でそうぼやきながら、その道を堂々と歩いていくドロシー。その隣には、相変わらず可愛らしい笑みを浮かべたジュリアナがいた。ジュリアナはドロシーの隣を優雅に歩いている。やはり、彼女は演技が出来る女性だ。そんな風に関心をしながら、ドロシーはゆっくりと飲み物が置いてある場所に向かって歩いていく。
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