【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
「そのまま眠ってしまったら、お肌が荒れてしまいますよ。お嬢様は大層お綺麗なのですから、やはり気を付けていただかないと……」
「分かっているわよ。その小言、いつもいつも聞いているわ」
「……久々に言った気がするのですが」
確かに、リリーのその言葉は久々に聞いたような気もする。しかし、ドロシーからすれば鼓膜に焼き付いた小言であることに間違いはないのだ。実際、昔から何度も何度もリリーはそう言ってきた。その言葉はそっくりそのまま耳の奥に残っているくらいだ。
その後、ドロシーが鏡台の前の椅子に腰かければ、リリーは丁寧にその髪に着けられた髪飾りを取っていく。ドロシーの髪は大層綺麗だ。見ているだけでも、羨ましくなる。なのに、本人はあまり髪の毛には興味がないのか、バッサリと切ってしまおうとすることもある。曰く、「髪の毛って調合の邪魔なのよ」ということらしい。それを侍女総出で止め、せめて髪の毛をまとめるくらいにしてください! と説得したのもまた記憶に新しい。
「そういえば、お嬢様。ルーシャン殿下とは、何かがありましたか?」
次にドレスを脱がせている最中。リリーはふとそんなことをドロシーに問いかけてきた。その言葉を聞いたドロシーは「特には」と端的に言葉を返す。どうやら、ドロシーは何処までもルーシャンに興味がないらしい。それを実感しながら、リリーはこっそりとため息をつく。
「お嬢様。ルーシャン殿下は、お嬢様の一応とはいえ夫ですよ?」
「そんなもの、書類上のものよ。紙切れ一枚で夫だなんて思えるわけがないわ」
リリーの言葉に淡々と返してくるドロシーの声には、何の感情も籠っていない。だからこそ、リリーは「……本当に!」とボソッと呟いてしまった。
「分かっているわよ。その小言、いつもいつも聞いているわ」
「……久々に言った気がするのですが」
確かに、リリーのその言葉は久々に聞いたような気もする。しかし、ドロシーからすれば鼓膜に焼き付いた小言であることに間違いはないのだ。実際、昔から何度も何度もリリーはそう言ってきた。その言葉はそっくりそのまま耳の奥に残っているくらいだ。
その後、ドロシーが鏡台の前の椅子に腰かければ、リリーは丁寧にその髪に着けられた髪飾りを取っていく。ドロシーの髪は大層綺麗だ。見ているだけでも、羨ましくなる。なのに、本人はあまり髪の毛には興味がないのか、バッサリと切ってしまおうとすることもある。曰く、「髪の毛って調合の邪魔なのよ」ということらしい。それを侍女総出で止め、せめて髪の毛をまとめるくらいにしてください! と説得したのもまた記憶に新しい。
「そういえば、お嬢様。ルーシャン殿下とは、何かがありましたか?」
次にドレスを脱がせている最中。リリーはふとそんなことをドロシーに問いかけてきた。その言葉を聞いたドロシーは「特には」と端的に言葉を返す。どうやら、ドロシーは何処までもルーシャンに興味がないらしい。それを実感しながら、リリーはこっそりとため息をつく。
「お嬢様。ルーシャン殿下は、お嬢様の一応とはいえ夫ですよ?」
「そんなもの、書類上のものよ。紙切れ一枚で夫だなんて思えるわけがないわ」
リリーの言葉に淡々と返してくるドロシーの声には、何の感情も籠っていない。だからこそ、リリーは「……本当に!」とボソッと呟いてしまった。