【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
「お嬢様が男性のことを苦手だと思っていることは、知っております。ですが、いつまでもそのままではダメですよ」
まるで、妹に言い聞かせるかのように。リリーは優しくそう告げた。その言葉を聞いたためだろう。ドロシーは小さく「……分かっているわよ」と零す。多分だが、彼女も本当は分かっているのだろう。このままでは、ダメなことくらい。
(男性が苦手なのは、克服しなくちゃいけない。引きこもりもいつかは止めなくちゃいけない。分かっているわ。……でも、今の生活がずっと楽なのよ)
そう思っても、引きこもるという誘惑には勝てたためしがない。楽な方へ楽な方へと流されている感は否めないが、それでもドロシーはどうしても男性のことを好きにはなれなかった。外の世界を、眩しいとは思えなかった。キラキラとした社交界よりも、土まみれの薬草の方が魅力的だ。そう思ってしまうのは、きっとドロシーの性なのだろう。
「まぁ、私はいつまでもお嬢様の味方ですよ。……ルーシャン殿下と離縁をするにしても、婚姻関係を続けるにしても。いつまでも、お嬢様について行きます」
「……ねぇ、リリー。私、ルーシャン殿下とは確実に離縁するつもりなのだけれど?」
「万が一のお話ですよ。……お嬢様の魅力に、ルーシャン殿下が気が付かれるかもしれないじゃないですか」
そんな日は、一生来ないと思うが。だって、ルーシャンは大層な女性嫌いなのだ。ドロシーのことも、あまり好いていない。そう、ドロシーは思う。そんな彼が、ドロシーのことを好きになる日なんてきっと来ない。それに……。
(ルーシャン殿下だったら、私よりもずっといい女性を捕まえることも容易いわ)
こんな社交嫌いの引きこもりよりも、ずっとずーっといい女性を捕まえることが出来るに違いない。これは自虐なのか。はたまた、他者への羨望なのか。それは分からない。それでも、少なくとも――。
(……初めの頃よりは、嫌いって言う気持ちが、薄れているのよね)
調合に興味を持って、自分のマニアックな話も聞いてくれる。そんな彼に抱く嫌悪感は、消え始めていた。まぁ、恋愛感情はその中にこれっぽっちも含まれていないのだが。
まるで、妹に言い聞かせるかのように。リリーは優しくそう告げた。その言葉を聞いたためだろう。ドロシーは小さく「……分かっているわよ」と零す。多分だが、彼女も本当は分かっているのだろう。このままでは、ダメなことくらい。
(男性が苦手なのは、克服しなくちゃいけない。引きこもりもいつかは止めなくちゃいけない。分かっているわ。……でも、今の生活がずっと楽なのよ)
そう思っても、引きこもるという誘惑には勝てたためしがない。楽な方へ楽な方へと流されている感は否めないが、それでもドロシーはどうしても男性のことを好きにはなれなかった。外の世界を、眩しいとは思えなかった。キラキラとした社交界よりも、土まみれの薬草の方が魅力的だ。そう思ってしまうのは、きっとドロシーの性なのだろう。
「まぁ、私はいつまでもお嬢様の味方ですよ。……ルーシャン殿下と離縁をするにしても、婚姻関係を続けるにしても。いつまでも、お嬢様について行きます」
「……ねぇ、リリー。私、ルーシャン殿下とは確実に離縁するつもりなのだけれど?」
「万が一のお話ですよ。……お嬢様の魅力に、ルーシャン殿下が気が付かれるかもしれないじゃないですか」
そんな日は、一生来ないと思うが。だって、ルーシャンは大層な女性嫌いなのだ。ドロシーのことも、あまり好いていない。そう、ドロシーは思う。そんな彼が、ドロシーのことを好きになる日なんてきっと来ない。それに……。
(ルーシャン殿下だったら、私よりもずっといい女性を捕まえることも容易いわ)
こんな社交嫌いの引きこもりよりも、ずっとずーっといい女性を捕まえることが出来るに違いない。これは自虐なのか。はたまた、他者への羨望なのか。それは分からない。それでも、少なくとも――。
(……初めの頃よりは、嫌いって言う気持ちが、薄れているのよね)
調合に興味を持って、自分のマニアックな話も聞いてくれる。そんな彼に抱く嫌悪感は、消え始めていた。まぁ、恋愛感情はその中にこれっぽっちも含まれていないのだが。