【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
30.「ですが、それと同時に人を愚かにもします。暴走もさせます」
「基本的なことを言うのならば、妻帯者に言い寄るのはマナー違反だ。それに、たとえ俺と妻の結婚生活が上手く行っていなくても、エイリーン嬢には関係ない」
冷たい声でそう言って突き放せば、エイリーンはぽろぽろと涙を零し始めた。やはり、彼女は打たれ弱いらしい。それに内心でため息をつき、ルーシャンは「じゃあ、俺は戻る」と言って踵を返そうとする。が、その手首をエイリーンが掴んだ。それに、露骨に驚いてしまう。
「わ、わたくしの力を示せば、ルーシャン殿下はわたくしを見てくださいますか?」
どうして、こんなにも諦めが悪いんだ。そんなことを思い、内心で舌打ちをした後「さぁな」とだけ素っ気なく言葉を返しておいた。その可能性は、限りなく無に近い。しかし、これ以上騒ぎを大きくされたくなかった。そういう意味も含めて、ルーシャンは適当に相槌を打ったのだ。
「……分かりました。では、わたくしがいかにルーシャン殿下に相応しいか、示させていただきますわ。ごきげんよう」
淑女の一礼を披露し、エイリーンは連れてきたのであろう侍女と共に王城を出ていく。それにホッと一息つくものの、一体どうやって示すというのだろうか。少なくとも、エイリーンに特殊な力はないはずだ。それに、ドロシーよりも興味がそそられるとは、考えにくい。
(……面倒な奴に、捕まったな)
ああいうタイプは優しくすればつけあがる。まぁ、優しくするつもりなど微塵もないのだが。それが分かるからだろう、ダニエルが後ろでため息をつく。そのため息を聞きながら、ルーシャンは部屋に戻ろうと歩き始めた。
冷たい声でそう言って突き放せば、エイリーンはぽろぽろと涙を零し始めた。やはり、彼女は打たれ弱いらしい。それに内心でため息をつき、ルーシャンは「じゃあ、俺は戻る」と言って踵を返そうとする。が、その手首をエイリーンが掴んだ。それに、露骨に驚いてしまう。
「わ、わたくしの力を示せば、ルーシャン殿下はわたくしを見てくださいますか?」
どうして、こんなにも諦めが悪いんだ。そんなことを思い、内心で舌打ちをした後「さぁな」とだけ素っ気なく言葉を返しておいた。その可能性は、限りなく無に近い。しかし、これ以上騒ぎを大きくされたくなかった。そういう意味も含めて、ルーシャンは適当に相槌を打ったのだ。
「……分かりました。では、わたくしがいかにルーシャン殿下に相応しいか、示させていただきますわ。ごきげんよう」
淑女の一礼を披露し、エイリーンは連れてきたのであろう侍女と共に王城を出ていく。それにホッと一息つくものの、一体どうやって示すというのだろうか。少なくとも、エイリーンに特殊な力はないはずだ。それに、ドロシーよりも興味がそそられるとは、考えにくい。
(……面倒な奴に、捕まったな)
ああいうタイプは優しくすればつけあがる。まぁ、優しくするつもりなど微塵もないのだが。それが分かるからだろう、ダニエルが後ろでため息をつく。そのため息を聞きながら、ルーシャンは部屋に戻ろうと歩き始めた。