【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
「……ルーシャン。お前、珍しいな」
「……何がだ」
「いや、こういう時絶対に嫌だというのがお前だっただろ」
パーシヴァルのその言葉に、ルーシャンは「まぁな」と端的に言葉を返す。実際、今までのルーシャンならばそう返していただろう。しかし、今はそう言っている場合ではないはずだ。
「けど、今はつべこべ言っている暇はないだろ。俺としても、王子としての務めは果たすつもりだ」
「……そうか」
ルーシャンの変化をどう思ったのか。パーシヴァルはそれだけの言葉を残すと自身の従者を連れて部屋を出ていく。その背中を見送れば、今度はアルバートが「ルー兄様」と声をかけてきた。
「どうした」
「いや、俺は……その」
言いたいことは、大体分かる。魔物退治は命を落としてもおかしくないとことだ。だから、怖いのだろう。その気持ち、少なくともルーシャンにも分かる。が、そもそも易々と死ぬつもりはこれっぽっちもないのだ。
「怖いのは、分かる。だけど、易々と死ぬつもりじゃないだろ?」
そう問いかければ、アルバートは「は、い」と返事をした。その声音は何処か弱々しいが、彼なりの決意はしっかりと表れている。だからこそ、ルーシャンは何かを言うこともなく「ダニエル、行くぞ」と言って部屋を出ていく。
「……殿下」
「あぁ、言いたいことは分かる」
エイリーンの言動。そして、このタイミング。多分、この結界の破壊にはエイリーンが関わっているのだろう。それが分かるからこそ、ルーシャンは内心で舌打ちをした。
「ダニエル、至急手紙を。ドロシー嬢に会いに行く」
「殿下!?」
「……俺は死ぬつもりはこれっぽっちもないが、万が一のことを考えてだ」
いきなり夫が死んだなんて教えられるのは、迷惑だろう。そう、思った。
(そうだ。これは、ドロシー嬢の迷惑にならないため)
それ以外の感情なんて――ありえない。求めても、いないはずだ。
「……何がだ」
「いや、こういう時絶対に嫌だというのがお前だっただろ」
パーシヴァルのその言葉に、ルーシャンは「まぁな」と端的に言葉を返す。実際、今までのルーシャンならばそう返していただろう。しかし、今はそう言っている場合ではないはずだ。
「けど、今はつべこべ言っている暇はないだろ。俺としても、王子としての務めは果たすつもりだ」
「……そうか」
ルーシャンの変化をどう思ったのか。パーシヴァルはそれだけの言葉を残すと自身の従者を連れて部屋を出ていく。その背中を見送れば、今度はアルバートが「ルー兄様」と声をかけてきた。
「どうした」
「いや、俺は……その」
言いたいことは、大体分かる。魔物退治は命を落としてもおかしくないとことだ。だから、怖いのだろう。その気持ち、少なくともルーシャンにも分かる。が、そもそも易々と死ぬつもりはこれっぽっちもないのだ。
「怖いのは、分かる。だけど、易々と死ぬつもりじゃないだろ?」
そう問いかければ、アルバートは「は、い」と返事をした。その声音は何処か弱々しいが、彼なりの決意はしっかりと表れている。だからこそ、ルーシャンは何かを言うこともなく「ダニエル、行くぞ」と言って部屋を出ていく。
「……殿下」
「あぁ、言いたいことは分かる」
エイリーンの言動。そして、このタイミング。多分、この結界の破壊にはエイリーンが関わっているのだろう。それが分かるからこそ、ルーシャンは内心で舌打ちをした。
「ダニエル、至急手紙を。ドロシー嬢に会いに行く」
「殿下!?」
「……俺は死ぬつもりはこれっぽっちもないが、万が一のことを考えてだ」
いきなり夫が死んだなんて教えられるのは、迷惑だろう。そう、思った。
(そうだ。これは、ドロシー嬢の迷惑にならないため)
それ以外の感情なんて――ありえない。求めても、いないはずだ。