【完結】殿下、離縁前提の結婚生活、いかがですか?~拗らせ男女の(離縁前提)夫婦生活~ 第一部【コミカライズ原作】
「リリー。今日の夕方、ルーシャン殿下がいらっしゃるそうよ。だから、準備をしましょう」
「……いきなり、ですね」
ドロシーの言葉に、リリーは勘繰ったようにそう言葉を告げてきた。確かに、いきなりであることに間違いはない。ドロシーだっていきなりだと思ったし、普段ならば拒絶していただろう。……しかし、今回はほんのちょっぴり事情が違うのだ。考えたくもないが、最悪の展開が脳裏に浮かんでしまうから。……これで、最後。そんな嫌な考えが、脳内を反復する。
(……そんなの、嫌よ。だって、私たち一年後に円満離縁するつもりじゃない)
こんな形での別れなんて、不本意すぎる。そう思うからこそ、ドロシーは一つの行動に出ることにした。
「お嬢様!?」
いきなり立ち上がり、調合スペースに向かったのだ。それを見たリリーが「今日はお休みだと……!」と言いながら慌てふためいているのが分かる。
確かに、今日は休むつもりだった。その理由など簡単であり、納期が近くないためだ。でも、今はそんな休むなんてこと出来なかった。
「ちょっとやることが出来たわ。だから、私、お部屋にこもる」
それは、ドロシーなりの「一人にしてほしい」という言葉だった。長い付き合いのリリーはそれを瞬時に察したのか、微妙な表情を浮かべるものの「かしこまりました」と言って下がっていく。そんなリリーに内心で謝りながら、ドロシーは調合用の机の前に腰かける。
「……いきなり、ですね」
ドロシーの言葉に、リリーは勘繰ったようにそう言葉を告げてきた。確かに、いきなりであることに間違いはない。ドロシーだっていきなりだと思ったし、普段ならば拒絶していただろう。……しかし、今回はほんのちょっぴり事情が違うのだ。考えたくもないが、最悪の展開が脳裏に浮かんでしまうから。……これで、最後。そんな嫌な考えが、脳内を反復する。
(……そんなの、嫌よ。だって、私たち一年後に円満離縁するつもりじゃない)
こんな形での別れなんて、不本意すぎる。そう思うからこそ、ドロシーは一つの行動に出ることにした。
「お嬢様!?」
いきなり立ち上がり、調合スペースに向かったのだ。それを見たリリーが「今日はお休みだと……!」と言いながら慌てふためいているのが分かる。
確かに、今日は休むつもりだった。その理由など簡単であり、納期が近くないためだ。でも、今はそんな休むなんてこと出来なかった。
「ちょっとやることが出来たわ。だから、私、お部屋にこもる」
それは、ドロシーなりの「一人にしてほしい」という言葉だった。長い付き合いのリリーはそれを瞬時に察したのか、微妙な表情を浮かべるものの「かしこまりました」と言って下がっていく。そんなリリーに内心で謝りながら、ドロシーは調合用の机の前に腰かける。